営業資料の作成に毎回何時間もかかっていませんか。構成を考え、デザインを整え、数値を差し替え、上司のレビューを受けて修正――このサイクルを月に何度も繰り返している方は多いのではないでしょうか。
2026年4月、Google スライドの Gemini 機能が大幅にアップデートされました。プロンプトを入力するだけで、内容に合わせた動的レイアウトの編集可能なスライドが自動生成されます。これまでの「AIが作った画像を貼り付けただけ」の固定スライドとは異なり、テキスト・画像・グラフのすべてを後から自由に編集できるのが最大のポイントです。
本記事では、この新機能を使って営業資料を効率よく作成する方法を、プロンプトの書き方から活用シーン別のガイドまで実践的に解説します。
Gemini スライド生成の新機能とは
2026年3月〜4月にかけて、Google は Workspace 全体に Gemini を深く統合するアップデートを段階的にリリースしました。Google スライドにおける主な進化ポイントは次の3つです。
動的レイアウト生成
Gemini がスライドの内容を解析し、階層構造・余白・視覚的バランスを自動調整したレイアウトを提案します。既存のデッキのテーマ・配色・フォントスタイルに合わせたデザインを自動で生成するため、手動でスタイルを揃える作業が不要になりました。
完全に編集可能なスライド
従来の AI スライド生成では、出力が画像化されて個別の要素を編集できない「固定スライド」問題がありました。2026年のアップデートでは、生成されたスライドのすべての要素(テキスト・図形・画像・グラフ)を個別に編集できます。フォントサイズの変更、色の調整、要素の並べ替えなど、通常のスライドと同じ操作が可能です。
Workspace データとの統合
Gmail・Google ドライブ・Google チャットにある既存の情報を参照してスライドを生成できます。たとえば「先月の商談メモと提案書を参照して、今期の成果報告スライドを作って」と指示すると、関連ファイルの内容を取り込んだスライドが生成されます。
対応プラン
Gemini のスライド生成機能が利用できるプランは以下のとおりです。
| プラン | Gemini スライド生成 | 月額目安(1ユーザー・年間契約) |
|---|---|---|
| Business Starter | 基本機能のみ(1日5回まで) | 約 ¥1,050 |
| Business Standard | サイドパネル・スライド生成 | 約 ¥2,100 |
| Business Plus | 全機能(ベータ含む) | 約 ¥3,300 |
| Enterprise | 全機能 + 高度な管理機能 | 要問合せ |
2025年以降、Business Standard 以上のプランには Gemini が追加料金なしで含まれています。以前は別途アドオン契約が必要だったことを考えると、コストパフォーマンスは大きく改善されました。
営業資料を自動生成するステップバイステップ
実際に Gemini を使って営業資料を作成する手順を紹介します。
ステップ1:Google スライドを開く
Google ドライブから新規プレゼンテーションを作成するか、既存のテンプレートを開きます。会社のブランドテンプレートがある場合は、それをベースにすると Gemini が自動でスタイルを引き継ぎます。
ステップ2:Gemini サイドパネルを起動する
画面右上の 「Gemini に相談」アイコンをクリックするか、ツールバーの 「Help me create a slide(スライドを作成)」 ボタンをクリックします。メニューから「挿入」→「Gemini でスライドを作成」を選ぶ方法もあります。
ステップ3:プロンプトを入力する
サイドパネルのテキスト入力欄に、作成したいスライドの内容を具体的に入力します。
プロンプト例(提案書の場合):
当社のWebサイト制作サービスの提案書を8枚のスライドで作成してください。
以下の構成でお願いします。
- 表紙
- クライアントの課題(中小企業のWeb集客の悩み)
- 当社のソリューション概要
- 制作プロセス(4ステップ)
- 過去の実績(3社の事例)
- 料金プラン
- 導入スケジュール
- お問い合わせ先
ステップ4:プレビューを確認して挿入する
Gemini が生成したスライドのプレビューが表示されます。内容を確認し、問題なければ 「スライドに追加」 をクリックします。修正が必要な場合は、プロンプトを書き換えて再生成するか、挿入後に手動で編集します。
ステップ5:細部を調整して仕上げる
自動生成されたスライドは、あくまで高品質なたたき台です。具体的な数値・社名・日付などの正確性を確認し、自社のブランドガイドラインに合わせて微調整を行いましょう。
効果的なプロンプトの書き方5つのコツ
Gemini で質の高いスライドを生成するには、プロンプトの書き方が重要です。以下の5つのコツを押さえておきましょう。
役割と目的を明示する
「あなたはBtoB営業の資料デザイナーです」のように、Gemini に期待する役割を最初に伝えると、トーンやデザインの方向性が安定します。あわせて「誰に向けた資料か」も明記しましょう。
あなたはBtoB向け営業資料の専門家です。
製造業の経営者に向けた、DX推進サービスの提案書を作成してください。
構成をリストで指定する
「提案書を作って」だけでは曖昧すぎます。スライドの枚数と各スライドの内容をリスト形式で指定すると、意図どおりの構成が得られやすくなります。
具体的な数値やデータを含める
「コスト削減の実績を入れて」ではなく「導入後6ヶ月で業務時間を30%削減した実績を入れて」と具体的に指示しましょう。Gemini はフェイクデータを入れてしまうことがあるため、正確な数値は自分で提供するのがベストです。
参照ファイルを @ で指定する
Google ドライブ上のファイルを @ファイル名 で直接参照できます。「@先月の商談報告書 を参照して成果スライドを作って」のように、既存の資料を指定すると精度が上がります。
@2026年Q1営業レポート を参照して、
今期の受注状況と売上推移をグラフ付きで1枚のスライドにまとめてください。
反復的に改善する
一度の指示で完璧なスライドを期待するのではなく、対話的に改善していくのがコツです。「このスライドの箇条書きを3つに減らして」「フォントサイズを大きくして」「グラフの色を青系に変えて」と、少しずつ調整を重ねましょう。
活用シーン別ガイド
Gemini のスライド生成は、営業資料以外にもさまざまなシーンで活用できます。
提案書・ピッチデッキ
最も効果を発揮するのが提案書の作成です。クライアントの課題・ソリューション・実績・料金の構成を指定し、ドライブ上の過去提案書を参照させると、短時間で一貫性のある提案書が仕上がります。
プロンプト例:
IT企業向けのクラウド移行サービス提案書を10枚で作成してください。
@前回の提案書テンプレート のスタイルに合わせてください。
週次・月次レポート
定型のレポートは Gemini との相性が抜群です。レポートの構成を一度プロンプトとして保存しておけば、毎週データを差し替えるだけで完成します。
プロンプト例:
週次営業レポートのスライドを5枚で作成してください。
- 今週のKPIサマリー(商談数、成約率、売上)
- 案件パイプライン
- 注力案件の進捗
- 来週のアクションプラン
- 課題と相談事項
社内勉強会・研修資料
業界ニュースやツールの使い方をチーム内で共有する場面でも便利です。Gemini に「〇〇について初心者向けに解説するスライドを作って」と指示するだけで、わかりやすい構成の教材が生成されます。
製品・サービス紹介
展示会やWebセミナーで使う製品紹介スライドにも活用できます。製品の仕様書や公式サイトの内容を参照させて、ビジュアル重視のスライドを自動で作成できます。
Google ドキュメント → スライド変換との連携
2026年のアップデートで特に便利になったのが、Google ドキュメントからスライドへのワンステップ変換です。
たとえば、すでに Google ドキュメントで作成済みの提案書や議事録がある場合、次の手順でスライド化できます。
- Google スライドの Gemini サイドパネルを開く
@提案書ドキュメント名でドキュメントを参照- 「このドキュメントの内容を8枚のプレゼン資料にまとめてください」と入力
- 生成されたスライドを確認して挿入
また、Gemini アプリの Canvas 機能を使う方法もあります。
gemini.google.comにアクセス- Google ドキュメントのファイルをアップロード
- 「このドキュメントをプレゼンテーションにしてください」と入力
- Canvas 上でスライドが生成される
- 「Google スライドにエクスポート」 ボタンで編集可能なスライドとして出力
どちらの方法でも、ドキュメントの構造(見出し・箇条書き・表)を Gemini が読み取り、適切なスライド構成に変換してくれます。テキスト量が多いドキュメントの場合は、「要点を3行に絞って各スライドにまとめて」のように、情報量を指定するとスライドが見やすくなります。
注意点と限界
Gemini のスライド生成は非常に便利ですが、いくつか注意点があります。運用に取り入れる前に把握しておきましょう。
ブランドガイドラインの準拠は手動確認が必要
Gemini は既存デッキのスタイルに合わせたスライドを生成しますが、細部のブランドガイドライン(指定フォント・カラーコード・ロゴの余白ルールなど)を100%遵守するとは限りません。特に対外向けの資料は、最終的に人間の目でブランドチェックを行いましょう。
データの正確性は必ず確認する
Gemini が生成したスライドに含まれる数値・事実・引用は、必ずしも正確とは限りません。特に具体的な金額・パーセンテージ・日付などは、元データと照合して正確性を確認してください。
機密情報の取り扱い
Google Workspace 向けの Gemini は、ユーザーのデータを AI の学習に使用しないポリシーが適用されています。ただし、プロンプトにクライアントの機密情報を含める場合は、自社のセキュリティポリシーに照らして利用範囲を確認することを推奨します。
日本語対応の状況
スライド生成機能は日本語にも対応していますが、一部の最新機能(Canvas 経由のプレゼン生成など)は英語で先行提供されており、日本語環境へのロールアウトが段階的に行われています。英語でプロンプトを入力したほうが精度が高い場合もあるため、結果が安定しないときは英語での指示も試してみてください。
生成回数の制限
Business Starter プランでは1日あたりの Gemini プロンプト回数が5回に制限されています。営業資料の作成頻度が高い場合は、Business Standard 以上のプランを検討しましょう。
まとめ
2026年4月のアップデートにより、Google スライドの Gemini 機能は「たたき台を自動生成する」レベルから「実務で使える営業資料をすぐに作れる」レベルへと進化しました。
- 動的レイアウトで既存デッキのスタイルに自動マッチしたスライドを生成
- 完全に編集可能なので、生成後の微調整も自由自在
- Gmail・ドライブ連携で既存情報を参照した資料作成が可能
- プロンプトのコツを押さえれば、提案書・レポート・研修資料まで幅広く対応
- ドキュメント → スライド変換で既存コンテンツの再活用も簡単
営業資料の作成時間を大幅に短縮できるだけでなく、デザインの一貫性も保ちやすくなります。まずは既存のテンプレートを開いて、Gemini にスライドを1枚生成してもらうところから始めてみてください。
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