認知特性に配慮したUXで「分かりにくくて離脱される」を直す — 受託のインクルーシブ設計 | GH Media
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認知特性に配慮したUXで「分かりにくくて離脱される」を直す — 受託のインクルーシブ設計

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認知特性に配慮したUXで「分かりにくくて離脱される」を直す — 受託のインクルーシブ設計

「マニュアルにも書いたし、画面にも注意書きを出したのに、お客様から同じ問い合わせが何度も来る」——サイトや申込フォームを運用する中小企業から、よく聞く悩みです。担当者は「ちゃんと説明している」と感じている。それでもユーザーは迷う。この食い違いの正体は、たいてい「作り手の頭の中の分かりやすさ」と「初めて訪れる人の認知の負担」がずれていることにあります。

Smashing Magazine が 2026 年 6 月に公開した The Benefits Of Cognitive Inclusion In UX Research は、この問題を数字で突きつけました。3 つの Web サイトをテストしたところ、認知面のアクセシビリティ・ニーズを持つ参加者は 197 件の使いにくさを発見し、一般の参加者の 113 件を大きく上回りました。実に 1.8 倍多く問題を見つけ、1.8 倍多く改善提案をしたのです。ここでいう「認知(cognitive)」とは、記憶・集中・学習といった情報処理に関わる特性で、ディスレクシア・ADHD・自閉スペクトラムといったニューロダイバージェントな人々を含みます。受託で Web を作る立場では、これは「特別な配慮の話」ではなく、「迷いやすい人が迷わない作りは、結局すべての利用者にとって分かりやすい」という設計原則の話だと捉えています。

なぜ「分かりにくい」が放置されるのか

サイトを作った本人は、構造も用語も導線もすべて頭に入っています。だから「分かりにくい」と感じる瞬間がそもそも来ません。一方、初めて訪れたユーザーは、限られた集中力と短期記憶で、慣れない言葉と画面を処理しなければなりません。作り手にとっての「自明」が、利用者にとっての「負担」になっている——これが、社内レビューでは問題が見つからないのに本番で離脱が起きる根本理由です。

認知特性に配慮した視点が強力なのは、この死角を照らすからです。記憶や集中に負担を感じやすい人が「ここで分からなくなる」と指摘する箇所は、程度の差こそあれ多くの一般利用者も内心つまずいている場所です。だからこそ、認知アクセシビリティの参加者が見つけた問題は、特定の層だけでなくサイト全体の改善につながります。WCAG の基本的な対応は Webアクセシビリティ実装ガイド(GH Media) で扱っていますが、本記事はその一歩先、「読めるか」だけでなく「迷わず理解して操作できるか」に踏み込みます。

認知負担が生まれる典型パターン

実際の受託案件で離脱の原因になりやすいのは、次のような箇所です。

症状起きていること利用者の体感
専門用語のまま提示社内用語・業界用語を説明なしで使う「何を聞かれているか分からない」
一画面に情報が多すぎる選択肢・注意書き・広告が同居「どこを見ればいいか分からない」
手順の現在地が不明いま何ステップ目か示されない「あとどれくらいか不安で離脱」
入力エラーが分かりにくい何をどう直すか具体的でない「直し方が分からず諦める」
戻ると入力が消える状態が保持されない「やり直す気力がなくなる」

これらは「デザインの好み」ではなく、記憶・集中・読解という認知資源を無駄遣いさせている構造的な問題です。とくに申込・問い合わせのような重要導線でこれが起きると、そのまま売上の取りこぼしになります。フォーム単体の改善は EFO(入力フォーム最適化)の進め方(GH Media) も参考になります。

受託で提供する「インクルーシブUX監査と改善」

弊社の受託では、感覚的な「使いやすくしましょう」ではなく、認知負担という具体的な軸でサイトを点検し、優先順位をつけて直す進め方を取ります。

認知負担の観点でサイトを棚卸しする

まず主要導線(トップ→サービス→問い合わせ、あるいは申込フォーム一式)を、認知負担のチェックリストで点検します。専門用語、情報密度、手順の可視化、エラーの具体性、状態保持——先ほどの表の各観点を、画面単位で「負担が大きい/小さい」に仕分けます。ある B2B サービスのクライアントでは、問い合わせフォームの選択肢に社内の商品コードがそのまま並んでおり、見込み客が「自分はどれを選べばいいのか」で止まっていました。選択肢を顧客の言葉(やりたいこと)に書き換えただけで、完了率が改善しています。

「分かる」を助ける具体策に落とす

棚卸しで見つかった負担箇所を、具体的な改善に変換します。たとえば——専門用語には平易な言い換えや補足を添える、1 画面の選択肢を減らして段階的に見せる、フォームに「全 3 ステップ中 2 ステップ目」と現在地を示す、エラーは「メールアドレスに @ が含まれていません」のように何をどう直すかまで書く、戻っても入力が消えないようにする。どれも派手ではありませんが、迷う人を確実に減らします。

実際に「迷いやすい人」に触ってもらう

社内レビューだけでは死角が埋まりません。可能な範囲で、ターゲットに近い・かつ認知特性の異なる協力者に実際に操作してもらい、「どこで止まったか」を観察します。元調査が示すように、この視点は一般のテストの 1.8 倍の問題を掘り起こします。費用や時間で本格調査が難しい場合でも、少人数の観察を 1 回挟むだけで、社内では絶対に出てこなかった気づきが得られます。

どの案件に効くか / 後回しでよいか

効果が大きい優先度は低め
申込・問い合わせで離脱が多い情報提供のみで操作が少ない
高齢者・幅広い層が顧客限られた習熟ユーザー専用
専門サービスを一般客に売るBtoB の固定取引のみ
問い合わせ対応の手間が大きい既に十分シンプル

「うちのお客様は IT に詳しくない」「年齢層が幅広い」という企業ほど、認知配慮の投資対効果が大きく出ます。逆に、操作が単純な情報サイトでは優先度を下げて構いません。サイト全体で問い合わせが伸びない場合の切り分けは 問い合わせが来ないサイトの直し方(GH Media) も併読してください。

価格モデル — インクルーシブUX監査・改善

プラン金額対象内容
UX監査18 万円〜主要導線認知負担チェック + 改善提案レポート
改善実装50 万円〜フォーム/導線用語・手順・エラー・状態保持の改善
利用観察つき90 万円〜サイト全体+ 認知特性の異なる協力者による操作観察
継続改善3 万円〜 / 月運用完了率モニタリング + 定期見直し

監査(18 万円〜)だけでも、「自社サイトのどこで、なぜお客様が迷っているか」を具体的なリストにできます。「問い合わせの電話で同じ質問を何度も受ける」状況は、たいていサイト側で先回りして解消できます。

まとめ — 迷いにくい設計は、全員に効く

認知特性への配慮は、一部の人のための特別対応ではありません。記憶・集中・読解に負担をかけない作りは、忙しい人・初めての人・急いでいる人を含むすべての利用者にとって「迷わない」設計です。海外調査が示した 1.8 倍という数字は、その視点がいかに多くの取りこぼしを照らすかを物語っています。受託で Web を支える立場では、認知負担という具体軸でサイトを点検し、用語・手順・エラー表示を直し、必要なら実際に迷いやすい人に触ってもらう「インクルーシブ UX 監査・改善」が、分かりにくさによる離脱を減らす実践的なサービスです。

「説明しているのに伝わらない」「フォームで離脱される」というご相談は お問い合わせフォーム からお気軽にどうぞ。まずは UX 監査から始められます。

Sources

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記事を書いた人

鈴木 翔

鈴木 翔

技術の可能性に魅了され、学生時代からプログラミングとデジタルアートの分野に深い関心を持つ

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