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Google CloudのClaude 2つの提供形態の違いと選び方

目次 · 6項目

社内のシステムはGoogle Cloudにあり、AIの利用料も同じ請求書にまとめたい。そのうえでClaudeを使うとき、これまでの選択肢はGoogle CloudのModel Garden(Agent Platform)経由でした。2026年10月、ここにもう1つの選択肢が正式に加わりました。

Anthropicのリリースノート(2026年10月22日の項)とGoogle Cloudの公式ブログ(10月23日)によると、Anthropicが運用するClaude APIをGoogle Cloudのプロジェクトから使う「Claude Models on Google Cloud (Anthropic managed)」が一般提供になりました。従来のGoogleが運用する形は「Google managed」と呼ばれます。どちらもGoogle Cloudの請求にまとまりますが、中身はかなり違います。この記事では、公式ドキュメントから2つの違いを整理し、選ぶ前に確かめる点をまとめます。

一番大きな違いは、データの処理者

Google Cloudのブログは、2つの違いを次のように説明しています。

The difference comes down to who acts as your data processor and whether you need access to the new Claude platform features when they launch

Anthropic managedでは、Anthropicがデータの処理者になり、Anthropicの商用利用規約(Commercial Terms)が適用されます。Google managedでは、既存のGoogle Cloudの顧客契約のもとで、Google Cloudが処理者になります。

Anthropicのドキュメントには、さらに次の記載があります。

Anthropic is the data processor for Claude Models on Google Cloud (Anthropic managed). Some supporting services, such as Anthropic’s trust and safety systems, process data outside Google Cloud.

Google Cloud側のドキュメント(2026年10月26日更新)は、もう少し踏み込んで書いています。Google CloudとAnthropicはそれぞれの担当部分について別々の処理者で、Google Cloudが受け持つのはIAMの認証、APIのルーティング、Cloud Audit Logs、Marketplaceの請求という連携部分です。そのうえで、データの保存と推論はAnthropicが管理する基盤で行われ、Google Cloudの外を経由することがあるとしています。

Data storage and inference occur on Anthropic-managed infrastructure (which may route outside Google Cloud), and subservices may change without notice.

Google Cloudのブログは「Google Cloudの基盤上で」Anthropicが運用すると書いており、資料によって書き方に差があります。ただ、AnthropicとGoogle Cloudのドキュメントはどちらも、Anthropic managedではデータの処理の一部がGoogle Cloudの外に及ぶことがあると明記しています。推論の地域は、リクエストごとに inference_geo で指定できると書かれています。社内の情報セキュリティの規程や、顧客との契約で「データはGoogle Cloudの中で処理する」と決めている場合は、この一文が判断の分かれ目になります。データの保持はClaude APIと同じ方針で、データを保存しない設定(ZDR)は申し込みで利用できます。

そのほかの違い

ドキュメントとブログから、運用に関わる違いを並べます。

項目Anthropic managedGoogle managed
運用・データの処理者Anthropic(商用利用規約)。IAM・請求などの連携部分はGoogle CloudGoogle Cloud(既存の顧客契約)
新機能公開当日から使えるGoogle側に組み込まれてから
リクエストの形Claude APIと同じ(/v1/messages など)Agent Platformの予測エンドポイント
管理画面・権限Claude Console(開けるのは roles/claude.admin のみ)Google Cloudのコンソール、Agent PlatformのIAMロール

ブログの比較表では、モデル自体は両方とも公開当日から使え、料金も同じとされています。違いは、Managed Agentsやスキル、コード実行のような「Claude Platformの機能」が届く時期です。Anthropic managedは公開と同時に、Google managedはGoogle側の基盤に組み込まれてから使えるようになります。

Google managedの特徴として、ブログはVPC Service Controls、顧客管理の暗号鍵(CMEK)、米国・EU・アジア太平洋のデータ所在地を挙げています。ただしAnthropicのGoogle managed向けドキュメントでは、地域を絞れるエンドポイントは米国(us)とEU(eu)のマルチリージョンと、個別のリージョンの2種類で、個別のリージョンで使えるのはClaude Sonnet 4.6以前のモデルだけです。新しいモデルで地域を絞る場合は米国かEUになり、どちらも global より1割高くなります。アジア太平洋で処理することが条件なら、使いたいモデルが対象かを先に確かめてください。Anthropic managedでも、Google Cloud KMSの鍵を使うCMEKは使えるとドキュメントに書かれています。

Google CloudでClaudeを使う2つの提供形態を比べた図。Anthropic managedは、Anthropicがデータの処理者(IAM・請求などの連携部分はGoogle Cloud)で処理がGoogle Cloudの外に及ぶことがある、新機能は公開当日から、APIキーは使えずGoogle Cloudの認証のみ、データアクセスの監査ログは既定でオフ。Google managedは、Google Cloudが処理者、新機能はGoogle側に組み込まれてから、VPC Service ControlsとCMEK、新しいモデルで地域を絞れるのは米国・EUのマルチリージョン

Anthropic managedを選ぶ前に確かめること

Anthropicのドキュメントには、導入や移行のときに確かめておきたい点がいくつか書かれています。

  1. APIキーは使えない:認証はGoogle Cloudの認証情報だけです。リクエストにはGoogleのOAuthのアクセストークンを付けます。APIキー前提で作った処理は、そのままでは動きません。なお、SDKのAnthropic managed向けクライアント(AnthropicGoogleCloud)はベータと書かれています
  2. 既存のAnthropicの組織は引き継げない:セットアップすると、プロジェクトごとに新しいAnthropicの組織が作られます。Claude Enterpriseの組織も含め、既存の組織を変換することはできず、APIキー、ワークスペース、Consoleの設定、ファイルやスキルは移りません。ZDRの取り決めも引き継がれません(Google Cloud側のドキュメントは、HIPAAの設定も引き継がれないと書いています)
  3. 権限はプロジェクト単位:IAMのロールはプロジェクトに付けるため、同じプロジェクトのすべてのワークスペースに効きます。チームごとに権限を分けたい場合は、Google Cloudのプロジェクトを分けるよう案内されています
  4. リクエストの記録は自分でオンにする:Cloud Audit Logsのうち、メッセージの送信などを記録するデータアクセスのログは、既定でオフです。リクエストの記録を残すには、claude.googleapis.com のデータアクセスのログを有効にします
  5. 権限を外しても動き続けるものがある:Managed Agentsのセッションや定期実行は、作成したときに権限を確かめ、実行中は確かめ直しません。退職者の権限を外したり、サービスアカウントを入れ替えたりしたときは、その人が作ったセッションと定期実行を見直すよう書かれています
  6. 使えない機能:MCPトンネルなどは使えないと明記されています

請求はGoogle Cloud Marketplace経由で、利用量は「Claude Consumption Units」(1単位0.01ドル)として報告され、Google Cloudの請求書に載ります。Google Cloudの利用の約束(コミットメント)がある場合は、他のMarketplaceの購入と同じように消化されます。

どちらを選ぶか

ここからは編集部の整理です。

  • Google Cloudの中でデータを処理することが条件なら、Google managed:処理者がGoogle Cloudで、VPC Service Controlsやデータ所在地の選択肢があります。新機能は遅れて届く前提で計画します
  • Managed Agentsなど新しい機能をすぐ使いたいなら、Anthropic managed:Claude APIと同じ形で呼べるため、既存のClaude API向けのコードを流用しやすくなります。ただしAPIキーからGoogle Cloudの認証への書き換えと、データの処理者がAnthropicになる点の社内確認が必要です
  • どちらにするか決める前に:今のコードがどちらを使っているかは、リクエスト先のホスト(claude.googleapis.com か aiplatform.googleapis.com か)や、SDKのクライアント名(AnthropicGoogleCloud か AnthropicVertex か)で見分けられると、ドキュメントに書かれています

Google Cloudで使えるAIのモデルが増えている状況は、社内AIにゲートウェイを1枚挟むかで整理した「モデルを替えられる作り」を考えるきっかけにもなります。Managed Agentsの通信の制限はManaged Agentsのweb_fetch制限と直し方を、Claude APIの呼び出しを観測する方法はClaude APIのOpenTelemetryを参照してください。

確認した範囲

2026年10月24日に、Claude Platformのリリースノート、ドキュメント「Claude Models on Google Cloud (Anthropic managed)」と「Claude Models on Google Cloud」(2つの比較)をplatform.claude.comで、Google Cloudの公式ブログ「Expanding Claude availability and deployment choice on Google Cloud」(2026年10月23日)をcloud.google.comで直接開いて確認しました(資料調査)。公開前の2026年10月27日に、これらを開き直したうえで、Anthropicの「Claude Models on Google Cloud (Google managed)」と、Google Cloudのドキュメント「Use Claude models on Google Cloud (Anthropic managed)」(docs.cloud.google.com、10月26日更新)も確認しました。編集部はどちらの提供形態もセットアップしておらず、料金の実際の表示、レート制限、日本からの応答速度は確認していません。

AIを社内システムに組み込む際の構成の選び方は、開発・AI・自動化のご相談からお問い合わせください。

参考資料

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鈴木 翔

技術の可能性に魅了され、学生時代からプログラミングとデジタルアートの分野に深い関心を持つ

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