「取引先へのお願いはメール、社内の急ぎはLINE、開発チームだけ別のチャットツール。この前も、LINEで決まった納期の話が、メールしか見ていない経理に伝わっていなくて、支払いがずれました」——従業員40名ほどの会社の管理部の方から、こんな相談を受けました。連絡手段が増えること自体は悪くありませんが、同じ会社の中で情報の置き場所が分かれていくと、「どこを見れば全部わかるか」が誰にも言えなくなる。これは規模が大きくなるほど効いてくる、静かなコストです。
意外と知られていないのが、すでにGoogle Workspaceを契約している会社なら、追加費用なしで使えるビジネスチャット「Google Chat」が手元にある、という事実です。本記事では、散らばった連絡をGoogle Chatに寄せるべきか、それとも今のままがよいのかを、発注者が判断するための材料を整理します。
「無料で使える」がなぜ効くのか
社内チャットの定番であるSlackやその他のツールは、人数分の月額課金がかかります。一方Google Chatは、Google Workspaceのプランに最初から含まれているため、同じ人数でも追加のライセンス費用が発生しません。すでに全社員がGmailやドライブを使っているなら、その延長線上でチャットも使える、という状態です。
もちろん「無料だから乗り換えるべき」という単純な話ではありません。ポイントは、Gmail・カレンダー・ドライブ・Meetと同じ画面の中でチャットが完結することです。会議の招待も、ファイルの共有も、そのままGoogle Chat上でつながります。連絡ツールを一つ減らせるうえに、資料や会議とのつながりも切れない——ここが、すでにWorkspaceを使っている会社にとっての本当のメリットです。Google Chat自体の基本的な使い方はGoogle Chat活用ガイドにまとめています。
寄せる前に決めるべき3つの線引き
ただ「明日から全員Google Chat」と号令をかけても、たいてい元のツールに戻ります。乗り換えを定着させるには、先に次の3点を決めておく必要があります。
| 決めること | 決めないと起きること |
|---|---|
| どの連絡をチャットに移し、何はメールに残すか | 「結局どっちで送ればいいの」で二重連絡が続く |
| スペース(グループ)を部署別か案件別のどちらで作るか | 数十のスペースが乱立し、どこに書くか迷う |
| 社外とのやり取りをチャットに含めるか | 取引先ごとに窓口が分かれ、履歴が追えない |
とくに大事なのが2番目の「スペースの作り方」です。部署別・案件別・全社お知らせ用を最初に少数だけ用意し、増やすときは管理者に一言通す、というルールにしておくと、乱立を防げます。社外の相手を巻き込む場合は、メールの共同トレイとの使い分けも論点になります。窓口が特定の人に依存する問題はGmail委任と共同トレイの記事で扱っているので、あわせて設計するとよいでしょう。
寄せない方がよいケースもある
すべての会社がGoogle Chatに寄せるべきかというと、そうではありません。たとえば、取引先や顧客との連絡がLINE中心で回っていて、相手もそれを望んでいる場合、社内都合で無理に変えると、かえって連絡が止まります。また、すでにSlackで社外のコミュニティやパートナーと深くつながっている開発チームを、全社統一の名目で引き剥がすのも得策ではありません。
現実的なのは、「社内の連絡はGoogle Chatに寄せ、社外の窓口は相手に合わせて残す」という線引きです。全部を一つにするのではなく、「社内で情報が散らばらない状態」をまず作る。そのうえで、社内チャットに集まった問い合わせが特定の人に集中し始めたら、社内問い合わせのAI自動化のような次の一手を検討する、という順番が無理がありません。
まず「社内の置き場所」を一つにする
連絡手段が分かれていること自体は、すぐに大事故にはなりません。だからこそ後回しにされ、気づけば「どこで何が決まったか誰も分からない」状態が常態化します。すでにGoogle Workspaceを使っているなら、追加費用なしでGoogle Chatに社内連絡を寄せられる——この選択肢を一度検討する価値はあります。
「連絡がツールごとに分かれていて、情報が追えない」「Google Chatに寄せたいが、スペースの作り方や社外との線引きで迷っている」「乗り換えを号令したのに、みんな元のツールに戻ってしまった」——そうしたお悩みがあれば、グリームハブのGoogle Workspace導入・運用支援へお気軽にご相談ください。御社の連絡の実態に合わせて、無理のない寄せ方を一緒に設計します。