制作会社はどこまでAIを使っていますか — サイト発注で先に握っておく取り決め | GH Media
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制作会社はどこまでAIを使っていますか — サイト発注で先に握っておく取り決め

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制作会社はどこまでAIを使っていますか — サイト発注で先に握っておく取り決め

サイトが公開された数か月後に、「トップページの写真は自社が権利を持つ画像に酷似している」という連絡が届く。制作会社に確認すると「素材は生成AIで作りました」と返ってくる。ここで発注した側が最初に直面するのは、掲載しているのは自社のサイトなので、対応の当事者は自社になるという事実です。

生成AIを使ったこと自体が問題なのではありません。問題は、使ったかどうかも、どこに使ったかも、発注時に何も決めていなかったことです。

「AIを使うな」は現実的でも有効でもない

対策として真っ先に思いつくのが、契約書に「生成AIの使用を禁止する」と書くことです。これは勧めません。理由が2つあります。

1つは、守られているかを確認する手段がないことです。納品された画像やコードを見て、生成AIを使ったかどうかを外形から判定するのは、発注側には困難です。確認できない禁止事項は、書いた側に安心感を与えるだけで、実効性がありません。

もう1つは、禁止すると発注側が損をする領域があることです。原稿のたたき台作り、コードの補完、画像の背景処理といった作業では、AIの利用が制作の速度と品質の両方に効きます。ここまで一律に止めると、価格にも納期にも跳ね返ります。

決めるべきは「使うか使わないか」ではなく、どこに使ってよくて、その結果について誰が何を保証するかです。

握るのは、使う範囲と権利の担保と記録

発注前に握っておく内容は、次の3つに整理できます。

使う範囲を、成果物の種類ごとに分ける。 「AI利用の可否」を一括で決めず、写真・イラスト、文章、コード、それぞれで扱いを変えます。たとえば、コードの補完は自由、文章の下書きも可、ただし公開する写真とイラストは事前確認——という形です。実務上いちばん揉めるのは公開される画像なので、ここだけ厳しくすれば大半の危険は下がります。

権利について「保証する」と言えるかを確認する。 契約書には通常、成果物が第三者の権利を侵害しないことを制作会社が保証する条項が入ります。生成AIを使う場合でも、この保証が維持されるのかを確認してください。「AIが生成したものなので保証できません」と言われたら、そこが交渉点です。保証しないなら、その部分は発注側でリスクを取ることになるので、少なくともどこがそうなのかを把握しておく必要があります。

記録を残す約束をする。 どの素材をどのツールでいつ生成したか、プロンプトを含めて記録を残してもらい、納品物と一緒に受け取ります。後から問い合わせが来たときに、経緯を説明できる材料になります。手間としては軽く、効果は大きい部分です。

Web制作の成果物を写真・イラスト/文章/コードに分け、それぞれのAI利用の可否と権利保証・記録の扱いを対比した図

「知らずに使った」が通りにくい理由

なぜここまで発注側が気にする必要があるのか。日本の著作権法の枠組みを見ると理由がはっきりします。

文化庁の文化審議会がまとめた「AIと著作権に関する考え方について」では、AI生成物が著作権を侵害するかは類似性と依拠性の2点で判断されるとされています。そのうえで、AI利用者が既存の著作物を知らなかった場合でも、そのAIの学習段階でその著作物が学習されていたのであれば、客観的にアクセスがあったと認められ、依拠性が推認され得るという整理が示されています。

さらに、生成すること自体が適法でも、それを公開して利用する段階は別に判断されるとも書かれています。サイトへの掲載はまさに利用の段階です。

つまり、「制作会社がAIで作ったものなので、うちは知らなかった」という説明は、法的な整理としては強くありません。掲載している側の責任は残ります。 だからこそ、生成物の扱いを制作会社側の内部事情にせず、発注の条件として表に出しておく価値があります。

生成物の商用利用そのものの考え方は生成AIで作った文章・画像は商用利用してよいかで扱っているので、社内のルール作りから入る場合はそちらを先に読んでください。

検収で実際に見る場所

契約で決めても、検収で見なければ意味がありません。とはいえ全ページを精査する時間は取れないので、見る場所を絞ります。

成果物見る場所具体的な確認方法
写真・イラストトップページと事業紹介の主要ビジュアル画像検索にかけて類似物が出ないか見る。数点で十分
文章会社紹介・代表挨拶・事業内容事実関係が自社の実態と合っているかを社内で読み合わせる
コードライセンス表記とパッケージ一覧使われているライブラリのライセンスが商用利用可能か確認する

写真は上位数点だけ見れば足ります。全点を確認するより、目立つ場所に置かれた数点を確実に確認するほうが、費用対効果が高くなります。

文章については、権利侵害よりも事実と違うことが書かれているリスクのほうが実際には高くつきます。AIが下書きした会社紹介に、実在しない受賞歴や、やっていない事業が紛れ込む。これは公開後に見つかると信用の話になるので、社内の人間が必ず読んでください。制作会社は自社の実態を知りません。

見積りが安い理由がAIなら、それ自体は問題ではない

相見積もりを取ると、価格差の理由を「AIを活用しているため」と説明する会社があります。これを警戒しすぎる必要はありません。制作工程にAIが入ったことで実際にコストが下がっている部分はあります。

見るべきなのは、下がった分がどこから来ているかです。素材制作や実装の工数が減ったことによる値下げであれば、発注側にとって素直に得です。一方で、確認と検証の工程まで削って安くなっている場合は、削られた分の作業が公開後に自社側へ回ってきます。

判断材料としては、見積書の中に検証・テスト・修正対応の項目が残っているかを見てください。ここが消えている見積もりは、安いのではなく、その工程が誰の仕事でもなくなっているだけの場合があります。

制作会社の選定でどこを比較すべきかという全体の話はWeb制作会社の選び方に、そもそも外注すべきかという手前の判断はノーコードで自作か、制作会社に発注かにまとめています。

発注前に、一度だけ聞いておく

契約書の文言を整えるより先に、候補の制作会社に口頭で1つだけ聞いてみてください。

「公開されるサイトの写真とイラストに、生成AIで作ったものは含まれますか」

答え方でおおよそ分かります。「含まれる場合は事前にお伝えします」と即答する会社は、社内で扱いを決めています。「使っていません」と断言する会社も、そう管理しているならそれで構いません。困るのは、質問の意味が伝わらない会社です。決めていないということなので、そこから一緒に決める作業が必要になります。

サイトのリニューアルを検討していて、制作会社との取り決めをどこまで詰めておくべきか整理したい、既に公開しているサイトの素材の扱いを確認しておきたい——そうしたご相談は、グリームハブのHP制作・リニューアル相談で承っています。要件によって最適な構成は変わるため、個別にお見積りします。お問い合わせからご相談ください。

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記事を書いた人

鈴木 翔

鈴木 翔

技術の可能性に魅了され、学生時代からプログラミングとデジタルアートの分野に深い関心を持つ

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