Workspace Studioにループ処理が入った — 内製できる自動化はどこまで広がったか | GH Media
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Workspace Studioにループ処理が入った — 内製できる自動化はどこまで広がったか

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Workspace Studioにループ処理が入った — 内製できる自動化はどこまで広がったか

「自動化を作ってみたんですが、1件ずつしか動かないので、結局スプレッドシートを開いて上から順に実行しています」——ノーコードの自動化ツールを試した会社から、こういう報告を受けることがあります。手作業を減らすために作ったはずのものが、手作業の起点になっている状態です。

これはツールの使い方が下手だったわけではありません。「1件の入力に対して1つの処理をする」形の自動化には、そもそも繰り返しの概念がなかったというだけです。フォームが送信されたら通知する、ファイルが追加されたらラベルを付ける。こうした引き金と反応が1対1の処理は組めても、「30行あるリストの全部に対して同じことをする」は組めませんでした。

Google Workspace Studio に、この穴を埋める機能が入りました。

「1件だけ」で止まっていた自動化

Workspace Studio は、Google Workspace の中でノーコードの自動化やAIエージェントを組めるツールです。日本語にも対応し、業務フローを自然文に近い形で組み立てられます。導入の相談自体は増えているのですが、実際に作り始めた会社が最初にぶつかるのが冒頭の壁でした。

実務で自動化したい作業を並べてみると、その多くが「複数件に対する同じ処理」です。

  • 会議の議事録から出た決定事項を、担当者ごとにタスクとして登録する
  • 商談リストの1行ごとに、状況に応じた文面のメール下書きを作る
  • 月初に、部門別の集計シートから部門ごとのレポートを作って配る

いずれも「1件ずつやれば手作業と変わらない」種類の仕事です。件数が多いから面倒であって、1件なら人がやればいい。つまり、繰り返しができない自動化は、いちばん自動化したいところに届いていなかったことになります。

追加されたのは機能というより「起点」

2026年6月2日に一般提供が始まった「Repeat for each(アイテムのリストに対する繰り返し)」は、リスト形式のデータを受け取り、その1件ずつに対して後続の処理を実行するステップです(Introducing the ability to loop over a list of items in Workspace Studio — Google Workspace Updates)。

注目すべきは、繰り返しの「元になるリスト」をどこから取れるかです。現時点で扱えるのは2種類あります。

リストの供給元具体例向いている業務
Google スプレッドシートの行商談リスト、備品台帳、社員名簿既に表として管理できている作業
Ask Gemini のリスト形式の応答議事録から抽出した決定事項、問い合わせ本文から抽出した依頼項目表になっていない文章から件数が決まる作業

前者は分かりやすい話です。表があるなら行数だけ回せばいい。実務で効いてくるのは後者のほうです。

議事録や問い合わせメールのような「非定型の文章」から、Geminiに項目を抜き出させ、その件数分だけ処理を回す。 何件になるかは実行してみるまで分かりません。従来の自動化は「入力の形が決まっていること」を前提にしていたので、この形は組めませんでした。ここが開いたことで、扱える業務の幅は件数以上に広がっています。

Workspace Studioのループ処理が扱えるリストの供給元と、内製で完結する範囲・開発の判断が必要になる範囲を対比した図

それでも内製で完結しない仕事の型

「では自動化は全部社内でできるのか」と聞かれると、そうはなりません。ループが入って変わったのは適用範囲であって、判断の難しさではないからです。

線を引くとすれば、次の3つのどれかに当たるかどうかで見ると分かりやすくなります。

1つめは、途中で失敗したときの扱いが決まっていない仕事。 30件のうち7件目でエラーが出たとき、残りを止めるのか、飛ばして続けるのか、後で7件目だけ再実行するのか。手作業なら人がその場で判断していた部分です。自動化するとこの判断を事前に決めておく必要があり、決めるには業務側の合意が要ります。ツールの問題ではありません。

2つめは、外部システムと双方向にやり取りする仕事。 基幹システムや販売管理から値を取ってきて、処理した結果を書き戻す。読むだけなら回避策もありますが、書き戻しが入ると整合性の担保が必要になり、ノーコードの範囲を出ます。

3つめは、間違えたときに取り消せない仕事。 メールの送信、請求データの確定、外部への公開。ループは件数分をそのまま実行するので、設計を1箇所間違えると、間違いも件数分だけ実行されます。 1件ずつ手で送っていた頃は、3件目で「これはおかしい」と気づけました。

この3つに当たらない仕事、つまり「社内で完結し、失敗しても後から直せて、外部システムを触らない」ものであれば、内製で組む価値は十分にあります。逆に当たるものを無理に内製すると、動かなくなったときに誰も直せない自動化が社内に残ります。

9月からの利用上限の話

運用に乗せる前に、もう1つ確認しておく点があります。2026年9月1日から、AI Expanded Access ライセンスを持つ利用者は Workspace Studio の利用上限が引き上げられます。裏を返せば、そうでない利用者には上限があり、それは変わらないということです。

ループ処理は1回の実行で内部的に件数分のステップを消費します。1件の処理なら気にならなかった上限が、100行のシートを回した途端に見えてくる可能性があります。

ここは事前に机上で試算するより、実際に運用したい件数の1割程度で1週間動かしてみて、上限に触れるかを見るほうが早く済みます。触れるようであればライセンスの検討に進み、触れないなら現状のままで構いません。

なお、誰がどの自動化を動かしているかを把握する仕組みは、上限とは別に必要です。作れる人が増えるほど、把握されていない自動化が増えます。この統制の話はノーコードでAIエージェントが乱立する前にで扱っています。ツールを増やす前に既存の連携で解けないかを見る観点はツールを増やす前に繋ぐを参照してください。

まず1本、失敗しても困らない業務で組む

最初に手をつける業務は、効果の大きさではなく「間違って100回実行されても困らないか」で選んでください。

社内向けの週次レポート生成、共有ドライブ内のファイル整理、社内チャットへの通知——このあたりが該当します。ここで1本を最後まで組み切ると、自社の業務のどこに繰り返しが潜んでいるかが見えるようになります。その目が付いてから、効果の大きい業務に移るほうが安全です。

逆に、いきなり顧客向けメールの一括下書きから入るのは勧めません。下書きなら送信されないから安全に見えますが、下書きが100件並んだ受信トレイを人が全部確認できるかという別の問題が出てきます。自動化の出口に人の確認を置く場合、その確認が現実的な量に収まっているかまで含めて設計になります。

社内のどの業務がノーコードで組めて、どこから開発の話になるのかを一度整理したい、既に組んだ自動化が運用に耐える形になっているか見てほしい——そうしたご相談は、グリームハブのIT・Google Workspace 無料相談で承っています。要件によって最適な構成は変わるため、個別にお見積りします。お問い合わせからご相談ください。

Sources

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記事を書いた人

鈴木 翔

鈴木 翔

技術の可能性に魅了され、学生時代からプログラミングとデジタルアートの分野に深い関心を持つ

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