アクセス解析の前年比較が壊れる — Chromeから旧広告ブロッカーが消えた | GH Media
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アクセス解析の前年比較が壊れる — Chromeから旧広告ブロッカーが消えた

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アクセス解析の前年比較が壊れる — Chromeから旧広告ブロッカーが消えた

四半期のレポートを作っていて、手が止まることがあります。施策を変えていないのに、GA4のセッションが前年同月より1割増えている。流入元の構成比も、上位ページの顔ぶれもほとんど同じ。増えた理由がサイト側に見当たりません。

こういうとき、原因が計測の外側にあることがあります。2026年のブラウザ拡張機能まわりの変化は、まさにその種類の変化です。

Chromeから、本来の広告ブロッカーが消えた

Chrome と Edge は、旧世代の拡張機能の仕様(Manifest V2)を打ち切りました。この結果、uBlock Origin は Chrome と Edge では動かなくなり、機能を削った Lite 版に置き換わっています。フル機能版が動く主要ブラウザは、現時点で Firefox だけです。Brave も独自に対応を続けています。

技術的な中身は、拡張機能が通信を止める仕組みの入れ替えです。旧仕様では、拡張機能が個々のリクエストを受け取ってその場で通す・止めるを判断できました(webRequest)。新仕様では、あらかじめ登録したルールをブラウザ側が適用する方式に変わっています(declarativeNetRequest)。リクエストごとの動的な判断ができなくなり、登録できるルールの数にも上限が付きました。

uBlock Origin はピーク時に Chrome だけで4,000万人規模の利用があったとされます。その全員が、Lite 版に移るか、別のブラウザに移るか、何も入っていない状態になったことになります。

計測タグの遮られ方が変わる

広告ブロッカーのフィルタは、広告だけを対象にしているわけではありません。アクセス解析のスクリプトやタグ配信のドメインも、多くのフィルタリストに含まれています。つまり、ブロッカーが強く効いている環境では、そのセッションはGA4に記録されません。

ここで効いてくるのが、動的な判断ができなくなったことです。解析タグの配信は、ドメインやパスを変えながら回避と遮断のいたちごっこを続けてきた領域です。事前登録のルールだけで戦う方式は、この変化に追随しにくい。結果として、Chrome 環境では、以前より計測が通りやすくなっている可能性があります。

ブラウザ旧世代の拡張機能計測への影響の方向
Chrome / Edge打ち切り済み(Lite 版に移行)遮断が弱まり、記録されるセッションが増える方向
Firefox引き続き利用可能従来どおり欠損が残る
Brave引き続き利用可能、ブラウザ本体でも遮断従来どおり、あるいはより欠損する

注意してほしいのは、この表が示しているのは方向であって、幅ではないことです。自社サイトで実際に何%動いたかは、訪問者のブラウザ構成と、そもそもブロッカーを使う層がどれだけ来ているかで変わります。BtoBの技術系サイトと、一般消費者向けのサイトでは前提がまるで違います。

動的な遮断から事前登録ルール方式への変更で、計測タグの通り方が変わることを示した図

自社のデータで確かめる方法

推測で終わらせず、手元のデータで確認できます。GA4 の探索レポートで、ブラウザ別のセッション数を月次で並べてください。期間は2年分あると判断しやすくなります。

見るのは絶対数ではなく、構成比の推移です。Chrome の比率が、サイト側で何もしていない時期に一段上がっている月があれば、そこが影響の出たタイミングである可能性が高い。Firefox や Brave の比率が同時に下がっていなければ、実際の利用者が移動したのではなく、これまで見えていなかったセッションが見えるようになったと読めます。

この確認をしておくと、レポートの書き方が変わります。「前年同月比+11%」と書く代わりに、「うち一定量は計測条件の変化による」と注記できる。逆に、この確認をしていない状態で施策の効果として報告してしまうと、次の四半期に同じ伸びが出ずに説明が付かなくなります。GA4 の基本的な見方についてはGA4の初期設定と見るべき指標で整理しています。

検索側の数字と突き合わせる

もうひとつ有効なのが、計測の系統が違うデータと突き合わせることです。

Google Search Console の表示回数とクリック数は、検索結果側で記録されています。ブラウザの拡張機能では遮断できません。同じ期間で GA4 のオーガニックセッションと GSC のクリック数を並べたとき、片方だけが跳ねているなら、跳ねたほうに計測要因が混じっていると考えられます。両方が同じ形で動いていれば、それは本当に流入が増えています。

この突き合わせは、広告ブロッカーの話に限らず有効です。検索結果の表示形式が変わって流入構造そのものが動く局面 — AI Overview が検索流入に与える影響のような変化 — でも、単一のツールだけを見ていると原因を取り違えます。流入の入口が増えていく状況についてはChatGPT広告の国内提供とサイト流入の設計でも触れました。数字が動いた理由を、常に2つ以上の系統で確かめるというのが、ここでの実務的な結論です。

次にやること

まず、直近2年のブラウザ別セッション構成比を出してください。5分で出せるレポートですが、前年比較を続けていいかどうかの判断がここで付きます。段差が無ければ、これまでどおり比較して構いません。

段差があった場合は、その月をレポートに注記として残しておく。半年後には誰も覚えていないので、書いておかないと同じ議論をもう一度やることになります。

計測の設計そのものを見直したい場合や、複数のデータソースを突き合わせる運用を仕組みにしたい場合は、グリームハブの開発・AI・自動化のご相談で承っています。既存の計測構成によって手当ての範囲が変わるため、個別にお見積りします。お問い合わせからご相談ください。

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記事を書いた人

鈴木 翔

鈴木 翔

技術の可能性に魅了され、学生時代からプログラミングとデジタルアートの分野に深い関心を持つ

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