月次のSEOレポートを開いたら、先月まで並んでいたキーワードのいくつかが空欄になっている。順位が圏外に落ちたのか、データが取れていないのか、レポートの見た目だけでは区別がつきません。代理店に聞くと「ツール側で調査中です」と返ってくる。
こういうとき、まず疑うべきは自社サイトではないことがあります。2026年8月26日、Googleは検索結果の各リンクを google.com/goto という中継アドレスに置き換える変更の展開を認めました。これまでページのHTMLにそのまま書かれていた行き先のURLが、暗号化されたパラメータ付きの中継リンクに変わります。
利用者から見た挙動はほぼ変わりません。変わるのは、検索結果を機械的に読んでいた側です。
何が変わったのか
これまで、検索結果ページのHTMLには行き先のURLが平文で入っていました。順位計測ツールは1回のリクエストでページを取得し、そこから数十件のURLをまとめて読み取れました。
変更後は、リンクが中継アドレスになり、パラメータは復号できません。行き先を知るには、リンクを1本ずつ辿るしかない構造です。1ページ分の結果を読むのに、リンクの数だけ追加のリクエストが必要になります。報道では、1つのキーワードを調べるのに500〜1,000回のリクエストが要る状況になったとされています。
Googleの狙いは大規模なスクレイピングを難しくすることだと見られています。目的が何であれ、外部ツールの取得コストは桁で上がります。
レポートに現れる症状
取得が重くなったツール側で起きるのは、次のような形です。

| 見え方 | 実際に起きていること |
|---|---|
| 特定のキーワードだけデータが欠ける | そのキーワードの取得が完了しなかった |
| 順位が不自然に大きく動く | 一部の結果しか読めず、順位の計算対象がずれた |
| レポートの更新が遅れる | 取得の頻度を落として負荷を調整している |
どれも「サイトの評価が変わった」ように見える形で表れます。ここで施策を打ち直すと、起きていない問題に対して工数を使うことになります。
切り分けの順番
自社サイトの問題かどうかは、次の順で確認できます。
- Search Console を開く。 表示回数とクリック数、平均掲載順位を、欠けている期間で見ます。ここはGoogleが直接出しているデータなので、中継リンクの影響を受けません
- 表示回数が保たれているか見る。 順位が本当に落ちていれば、表示回数かクリック数のどちらかが動きます。Search Console 側が平常で、ツール側だけが欠けているなら、計測の問題です
- 欠け方の分布を見る。 特定のキーワード群だけでなく、複数のサイト・複数のキーワードで同時に起きているなら、ツール側の可能性が高くなります
- ツールの提供元に確認する。 「この変更への対応状況」と「データが欠けた期間の扱い」を聞きます。取得方法を変更中なら、その期間の数値は前後と比較しないほうが安全です
順番が大事です。1を飛ばして3から入ると、「うちだけ落ちた」という結論に飛びつきやすくなります。
一次データと二次データを分けて扱う
今回の件に限らず、検索まわりの数字は取得元によって性質が違います。
Search Console は一次データです。Googleが自社の記録から出しているので、外部の取得方法に左右されません。表示回数・クリック数・掲載順位・クエリが取れます。計測範囲を広げる方法はSearch Consoleのプラットフォームプロパティで整理したとおりです。
順位計測ツールは二次データです。検索結果を外から観測して作っているため、観測方法が変わると数値も変わります。便利なのは、競合の順位や、特定の地域・端末での見え方など、Search Console では取れない断面が見られることです。
使い分けの原則は、意思決定に使う数字は一次データに寄せること。二次データは傾向の把握と競合比較に使い、絶対値を根拠にしない。ブラウザ拡張の影響でアクセス解析の数字が環境依存で欠ける問題を扱った計測のずれが前年比を壊す話と、構図は同じです。測定器が変われば目盛りも変わります。
今回の変更で影響を受けないもの
不安が広がりやすい話なので、影響が及ばない範囲もはっきりさせておきます。
自社サイトのSEOそのものには影響しません。 ページの内容、内部リンク、表示速度、構造化データ、被リンク。Googleがサイトを評価する仕組みが変わったわけではなく、変わったのは検索結果ページのリンクの書き方だけです。
Search Console と自社のアクセス解析も影響を受けません。 Search Console はGoogleが直接出しているデータです。解析ツール側も、訪問者がサイトに到達したあとの記録なので、経路が中継されていても計測は続きます。検索からの流入が「参照元なし」に分類される割合が変わる可能性はありますが、流入そのものが減るわけではありません。
影響を受けるのは、検索結果を外から機械的に読んでいた部分だけです。ここを切り分けられれば、慌てて施策を変える必要がないことが分かります。
社内のレポートで直しておくこと
レポートの様式そのものに手を入れておくと、次に同じことが起きたときに迷いません。
- データの出どころを各表に明記する。 「Search Console」「順位計測ツール」のどちらから来た数字かを1行入れる
- 欠損を空欄ではなく「未取得」と書く。 空欄は「ゼロ」や「圏外」と読み違えられます
- 月次の判断は Search Console の表示回数・クリック数で行う。 順位の上下は参考値として併記する
検索結果の見え方そのものが変わり続けているなかで、順位という単一の数字の意味は以前より小さくなっています。検索結果の画面上で自社のリンクがどう扱われるかという論点はAI Overview 時代のリンクの見つかりやすさでも扱いました。順位が上がったかより、表示されてクリックされたかを見るほうが、実務の判断に直結します。
次にやること
今月のレポートで欠けている箇所があるなら、同じ期間の Search Console を開いて、表示回数とクリック数が平常かどうかを確認してください。平常なら、サイト側で打つ手はありません。
そのうえで、レポートを作っている担当者か委託先に、今回の変更への対応状況を1度確認しておいてください。対応中であれば、その期間の順位データを前後比較に使わない、と決めておくだけで十分です。
検索データの取得と社内レポートの自動化、Search Console や解析ツールからの集計の作り込みについては、グリームハブの開発・AI・自動化のご相談で承っています。使っているツールの構成によって組み方が変わるため、お問い合わせからご相談ください。









