広告の管理画面を開くと、コンバージョン数は前月より増えている。単価も下がっている。なのに、営業に回る商談は増えていない。月末の売上も動いていない。広告費を出している側からすると、一番もやもやする状態です。
代理店に聞くと「コンバージョンは取れています」と言われ、実際に数字はそのとおりです。ただ、その数字が指しているものと、事業で必要なものがずれている場合があります。
2026年9月、あるゲーム開発者が自身のブログで、Googleのアプリ広告に約220ドルを使ったところ、得られたインストールのおよそ6割がボットによるものだったと報告しました。個人開発者による小規模な検証で、Googleが認めた数字ではありません。ただ、その見分け方の過程は、広告費を出しているすべての事業者に応用できる形をしています。
何がコンバージョンとして記録されていたか
報告によると、不自然なインストールには共通の動きがありました。広告グループの中で一番短い動画を選んで視聴し、そのあとアプリストアからではなく、保存済みのファイルからアプリをインストールしていた、というものです。ストア経由を避けたほうが速く、ストア側に気づかれにくいためだと説明されています。
そして、動画の視聴とインストールが続けて起きると、広告の側ではコンバージョンとして数えられます。媒体の管理画面から見れば、正常に成果が出た記録になります。
開発者がこれに気づいたのは、広告の数字ではなく、アプリの中の行動を見ていたからでした。インストール直後に何もせず離脱する、滞在時間が極端に短い、翌日以降に一度も起動しない。こうした挙動が特定の流入源に固まっていたことで、区別がついています。
管理画面だけでは構造的に見えない
ここが重要な部分です。広告媒体の管理画面は、媒体が計測できる範囲の出来事しか表示しません。クリックされた、動画が視聴された、設定したコンバージョン地点に到達した。ここまでは正確に記録されます。
記録されないのは、そのあとです。問い合わせフォームが送信された事実は残りますが、その問い合わせが商談になったかどうかは媒体側では分かりません。媒体が最適化のために使っている信号が、事業の成果とずれていても、媒体からは正常に見えます。
これはボットに限った話ではありません。BtoBのサイトで「資料請求」をコンバージョンに設定していると、競合他社や営業目的の送信も同じ1件として数えられます。媒体はその1件を増やす方向に学習するため、続けるほど営業メールが増える、という結果になることがあります。

自分の広告費で確かめる手順
外部のツールを入れる前に、今ある環境でできる確認があります。順番に効きます。
1. コンバージョン後の行動を見る。 アクセス解析で、コンバージョンした訪問者の滞在時間とページ閲覧数を流入元別に見ます。同じ問い合わせでも、5分サイトを見て回ってから送信した人と、着地して数秒で送信した人では中身が違います。後者が特定のキャンペーンに偏っていたら、そこから調べます。
2. フォームの中身を流入元と突き合わせる。 問い合わせフォームに、どの経路から来たかを記録する項目を隠しで持たせておきます。3か月分をまとめて見ると、どのキャンペーンからの問い合わせが商談になっているかが事実として出ます。これは媒体側では絶対に分からない情報です。
3. 時間帯と地域の分布を見る。 営業時間外や、商圏外の地域からのコンバージョンが不自然に多い場合、除外設定が甘い可能性があります。人力でも自動でも、ここは同じように偏りとして現れます。
| 見る場所 | 分かること | 分からないこと |
|---|---|---|
| 広告管理画面 | クリック数、表示回数、CV数と単価 | その先で事業が動いたか |
| アクセス解析 | 流入後の行動、滞在、離脱 | 誰から来た問い合わせか |
| 自社の商談記録 | 受注につながった経路 | 媒体上の配信面 |
3つを別々に見ている限り、ずれは見つかりません。流入元の情報を問い合わせデータまで持ち回る設計にして初めて、広告費と売上が同じ表に並びます。
媒体に頼れる範囲と、頼れない範囲
各媒体は無効なクリックやトラフィックの検知を行っていて、明らかな不正分は費用から差し引かれる仕組みがあります。これは機能しています。頼れる部分です。
頼れないのは、技術的には正常だが事業的には無価値な成果のほうです。実在する人間が広告を踏み、フォームを送信し、しかしそれが営業目的だった場合、媒体から見れば何も異常はありません。中小企業の広告でよく目減りしているのは、この層です。
対策は、除外リストを増やすことよりも、コンバージョン地点を事業の成果に近づけるほうが効きます。フォーム送信ではなく、商談化した件数を広告側に戻す。すぐには難しくても、月次で手動で突き合わせるだけでキャンペーンの取捨選択は変わります。
広告費そのものの考え方はリスティング広告の費用相場ガイド、Google広告の予算設計はGoogle広告の費用ガイドに整理しています。
次にやること
まず、直近3か月のコンバージョンのうち、実際に商談や受注につながった件数を数えてみてください。広告管理画面のCV数と並べたとき、割合が1割を切っているなら、いま最適化しているのは事業の成果ではない可能性があります。
そのうえで、問い合わせフォームに流入元を記録する項目を追加してください。ここが入っていないと、次の3か月も同じ判断ができません。
グリームハブでは、広告運用とWeb集客のご相談を承っています。配信そのものの改善だけでなく、何をコンバージョンとして数えるかの設計からお手伝いできます。事業の形によって適切な計測地点は変わるため、まずは現状をお聞かせください。お問い合わせからご相談いただけます。








