「営業部のメーリングリストに、来月入る派遣の方を追加しておいてください」。この依頼が、去年までは各部署の中で片付いていたのに、最近また情シスに回ってくるようになった——という会社は、Googleグループの権限設定が変わり始めた影響を受けている可能性があります。
Googleグループには、メンバーの追加・削除を誰に許すか、メンバー一覧を誰に見せるかを決める設定があります。ここにカスタムロールを割り当てて「営業部のこの2人だけがメンバーを追加できる」という運用を組んでいた会社は少なくありません。この作り方が使えなくなります。すでに新規の設定は止まっており、2026年1月5日以降は、既存のカスタムロールも削除されます。
削除されるのは設定だけですが、その設定で回っていた業務は残ります。誰がメンバーを追加するのかを決め直さないと、1月からメンバー追加の依頼が全部一箇所に集まります。
対象になるのは2つの設定だけ
グループの権限設定はいくつもあるため、まずどれが対象かを正確に押さえます。サポートされなくなるのは次の2つへのカスタムロール設定です。
- メンバーを管理できるユーザー
- メンバーを表示できるユーザー
あわせて、メンバーの管理を組織全体に許可する設定もサポート対象から外れます。
一方で、次の権限へのカスタムロール設定は変わりません。ここを混同すると、直さなくていいものまで触ってしまいます。
- カスタムの役割を変更できるユーザー
- グループのオーナーに連絡できるユーザー
- メンバーのメールアドレスを表示できるユーザー
つまり「メンバーそのものを触る/見る権限」だけが対象で、それ以外のカスタムロールはそのまま使えます。
いつ何が起きるか
段階的に進んでいて、最初の2段階はすでに過ぎています。
| 時期 | 起きること |
|---|---|
| 2025年7月から | 影響を受けるグループのオーナーとマネージャーに、変更を知らせるバナーが表示される |
| 2025年9月15日から | 新しいカスタムロールを追加できなくなる。メンバーの管理を組織全体に設定することもできなくなる |
| 2026年1月5日から | 設定済みのカスタムロールが削除される |
いま現場でメンバー追加が回っているなら、それは2025年9月15日より前に設定したものが残って動いている状態です。新しく同じ運用を作ることはもうできず、残っているものも1月に消えます。
見落としやすいのは、バナーが出るのがグループのオーナーとマネージャーであって、管理コンソールを見ている情シスではないという点です。バナーを見た現場の担当者が「よく分からない通知が出ている」で流していると、情シス側には何も届きません。
削除されたあと、誰が追加するのか
カスタムロールが消えると、その権限で成り立っていた運用は、オーナー・マネージャー・メンバーという標準のロールで組み直すことになります。Googleのヘルプでは、対応としてこの2つが挙げられています。

| 組み直し方 | 効果 | 副作用 |
|---|---|---|
| カスタムロールを持っていた人をオーナーとして追加する | その人はこれまでどおりメンバーを追加できる | オーナーはメンバー管理以外の権限も持つ |
| すべてのメンバーにメンバーの管理を許可する | 現場での追加が止まらない | グループに入っている全員が誰でも追加・削除できる |
どちらも「これまでと同じ」にはなりません。1つ目は渡す権限が広くなり、2つ目は渡す相手が広くなります。カスタムロールは「この人だけに、この操作だけ」を実現する道具だったので、それが無くなれば、範囲か人数のどちらかを広げる形になります。
グループの性質で選び分ける
全グループを同じ方針で処理しようとすると、どちらを選んでも事故が起きます。中身で分けてください。
外部の人が入っているグループ、機密情報が流れるグループは、オーナー追加のほうに寄せます。取引先や業務委託先が混ざるメーリングリストで「全メンバーが追加できる」にすると、社外の人が別の社外の人を呼べる状態になります。外部を含むグループの扱いはゲストアカウントでの共同作業で整理した考え方と同じで、入口を増やす変更は外部が絡む場所から避けるのが原則です。
社内だけの、人の出入りが多いグループは、全メンバー許可でも実務が回ります。部署の連絡用リスト、プロジェクトの臨時グループ、社内勉強会の案内先。ここで情シスを経由させると、単に遅くなるだけで守れるものがありません。
判断に迷ったら、そのグループのメンバー一覧を開いて、社外ドメインのアドレスが1件でもあるかどうかを見てください。あればオーナー追加、なければ全メンバー許可。この一問で大半が振り分けられます。
1月までにやる棚卸し
対象のグループを洗い出す作業が要ります。数が多い会社ほど、年末に慌てないよう早めに始めたほうがいい部分です。
- 影響を受けるグループを特定する。 グループの設定で、メンバーの管理・表示にカスタムロールが入っているものを拾います。オーナーやマネージャーに出ているバナーも手がかりになります
- そのグループが今も使われているか確かめる。 使われていないグループなら、組み直すのではなく整理する判断ができます。ここで数を減らしておくと、あとの作業が軽くなります
- カスタムロールを持っていた人が今も在籍しているか確認する。 退職者に割り当てられたまま残っているケースがあります。この確認は退職時のアカウント整理の棚卸しと同じ流れで進められます
- グループごとに、オーナー追加か全メンバー許可かを決めて適用する
- 現場の担当者に伝える。 権限の持ち方が変わったことを知らせておかないと、1月に「追加できなくなった」という問い合わせが一気に来ます
グループの作り方そのものを見直したい場合は、グループアドレスの作り方と使い分けも合わせて確認しておくと、統廃合の判断がしやすくなります。
次にやること
まず、社外のアドレスが入っているグループを1つ選んで、メンバーの管理権限にカスタムロールが設定されていないかを見てください。設定されていれば、それは1月5日に消えます。
そのうえで、グループの一覧を眺めて「これは誰が追加しているのか説明できない」ものがいくつあるかを数えてください。その数が、1月までに決めなければいけない判断の数です。
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