「先月ホームページをリニューアルしたばかりなんですが、トップのお知らせを一件足したいだけで、また制作会社に頼まないといけなくて」——せっかく新しくしたのに、社内の誰も手を出せない。こういう相談は珍しくありません。見た目は立派でも、自社で更新できないサイトは、更新のたびに時間とお金がかかる「開かずのサイト」になっていきます。
厄介なのは、これがデザインの良し悪しでも予算の多寡でもなく、「発注前に更新体制を決めなかった」ことが原因だという点です。作り終えてから「自社で直せるようにしてほしい」と言っても、構造上できないことが多い。放置された古いサイトの危険は「作って終わり」のホームページが危険な理由でも触れましたが、本記事はその一歩手前、発注する前に何を決めておけば「自社で更新できる」状態を手に入れられるかに絞ります。
なぜ「自社で更新できない」サイトが生まれるのか
更新できないサイトには、いくつか典型的な原因があります。
- 静的に作り込まれている:デザイン優先で1ページずつHTMLを手書きしてあり、文章を一文直すにもコードを触る必要がある。
- CMSは入っているが渡されていない:管理画面はあるのに、ログイン情報も操作方法も共有されていない。
- 更新できる人が社内にいない:仕組みはあっても、使い方を教わっていないので誰も触らない。
最初のケースは構造の問題、後の二つは「引き継ぎ」の問題です。とくに三つ目は、担当者一人だけが操作を覚えて属人化し、その人が異動・退職した瞬間にまた更新できなくなる。制作会社と連絡が取れなくなったサイトを引き継ぐ苦労は作った会社と連絡が取れないサイトを引き継ぐ話のとおりで、そうなる前に手を打つべきものです。
まず「どこを・誰が・どれくらい」更新したいかを言葉にする
発注前にやるべき最初の作業は、ツール選びではありません。自社が実際に何を更新したいのかを具体的に書き出すことです。ここが曖昧なまま「更新しやすくしてください」と頼んでも、噛み合いません。
| 決めること | 具体例 |
|---|---|
| 何を更新するか | お知らせ、事例、料金、採用情報、ブログ |
| どれくらいの頻度か | 週に一度/月に一度/年に数回 |
| 誰が更新するか | 総務が一人/広報チーム/各部署 |
たとえば「お知らせと事例を月数回、総務の担当者が一人で更新する」なら、求めるのは高機能なシステムではなく、その担当者が迷わず使える簡単な管理画面です。逆に更新がほぼ発生しないページまでCMS化するのは、コストの割に使われません。更新頻度の高い箇所だけを自社で触れるようにし、それ以外は制作会社に任せるという線引きが現実的です。
CMSは「機能の多さ」より「触る人に合っているか」で選ぶ
更新体制が決まって初めて、それを実現する仕組み(CMS)の話になります。選ぶ軸は機能の多さではなく、実際に更新する人が無理なく使えるかです。
- 更新するのが非エンジニアの担当者なら、WordPressのように管理画面から直感的に編集できるものが向きます。
- お知らせや事例など「型が決まった情報」を増やしていくなら、項目に沿って入力するだけで整った表示になる構成が向きます。この考え方はAstroとmicroCMSで作る構成でも解説しています。
- 更新がごく稀なら、無理にCMSを入れず、必要なときだけ制作会社に依頼する形の方が総額は安く済みます。
どれが正解というより、先に決めた「誰がどれくらい更新するか」に合わせて選ぶのが要点です。ここを制作会社任せにすると、先方が作りやすいものが選ばれ、必ずしも御社が更新しやすいものにはなりません。
契約と納品で「更新できる状態」を担保する
仕組みが決まっても、渡され方が不十分だと結局更新できません。発注時・納品時に、次を明示しておきます。
- 管理画面のログイン情報一式を受け取る:URL・ID・パスワード、ドメインやサーバーの管理権限も含めて自社名義で保有する。
- 更新手順の簡単なマニュアルか操作説明を受ける:担当者が実際に一度、目の前で更新してみて完了できることを確認する。
- どこまでが自社更新で、どこからが依頼かの線引きを文書化する:レイアウト変更や新規ページは依頼、テキストと画像差し替えは自社、といった具合に役割を決めておく。
- 更新できる人を最初から二人以上にする:一人に集中させず、属人化を避ける。
この四点を発注時の要件に入れておくだけで、「納品されたのに触れない」という事態はほぼ防げます。リニューアルそのものの進め方はコーポレートサイトのリニューアルガイドにまとめています。
発注前に、更新したいページを一つ挙げてみる
自社で更新できるサイトを手に入れる鍵は、高機能なシステムでも大きな予算でもなく、発注する前に「何を・誰が・どれくらい更新するか」を決めておくことです。次にサイトを作る・作り直すなら、まず「今後いちばん頻繁に自分たちで直したいページ」を一つ挙げてみてください。それが、更新体制を設計する出発点になります。
どこまで自社で更新できるようにすべきか、自社の運用に合うCMSは何か、契約に何を盛り込むべきか——サイトを作る前・作り直す前のこうしたご相談は、グリームハブのHP制作・リニューアルのご相談からどうぞ。更新体制の設計から、御社の担当者が実際に使いこなせる構成まで、発注する側の立場でご一緒します。