業務データと生成AIの処理を「どこで」行うか — Workspaceのデータリージョン | GH Media
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業務データと生成AIの処理を「どこで」行うか — Workspaceのデータリージョン

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業務データと生成AIの処理を「どこで」行うか — Workspaceのデータリージョン

「御社の業務データは、どこの国のサーバーで保管・処理されていますか」——取引先のセキュリティ調査票や監査で、この問いに手が止まった経験はないでしょうか。とくにGemini のような生成AIを業務に取り入れた会社では、「入力した内容がどこで処理されるのか」まで説明を求められる場面が増えています。感覚では「Googleのクラウドだから大丈夫」でも、書面で「どこで」を示せないと、取引や監査で足を止められます。

実は Google Workspace には、この「どこで保管・処理するか」を管理者が指定できる データリージョン という仕組みがあります。そして2026年、生成AIであるGeminiの処理もこのデータリージョンに従うようになりました。何を制御でき、何は制御できないのか。中小企業が何から手をつけるべきかを、管理する側の視点で整理します。

データリージョンで何を制御できるのか

データリージョンは、組織のデータを 地理的にどこで保管し、どう処理するか を管理者が指定できる機能です。具体的には、対象となる主要な Google Workspace サービスの保存データ(バックアップを含む)と、利用者が入力したデータの処理を、米国または欧州 のいずれかに指定できます(Google Workspace 管理者ヘルプ)。地域ごとの規制や、社内の情報管理ポリシーに合わせて保管場所をそろえるための仕組み、と考えるとわかりやすい。

ここで正確に押さえておくべき点が二つあります。一つは、選べるのは現時点で 米国か欧州 であり、「日本国内に固定する」といった選択肢ではないこと。もう一つは、すべてのデータが対象になるわけではないこと。対象は所定のサービスの一部データに限られます。つまりデータリージョンは万能の「国内保管スイッチ」ではなく、保管・処理の場所を米欧のいずれかにそろえ、それを説明・証明できるようにするための統制手段です。「そもそも何をAIに渡してよいか」という手前の線引きは 業務で使う生成AIに渡した情報はどこの国へ行くのか で扱ったので、あわせて読むと全体像がつかめます。

2026年、Geminiの処理もデータリージョンに従うようになった

生成AIの普及で、この仕組みの重要度は一段上がりました。2026年、Gemini アプリが組織のデータリージョン要件に従うようになり、管理者は保管・処理を欧州のみ・米国のみ・その両方のいずれにするかを設定でき、組織部門(OU)単位での細かな制御も可能になっています(Google Workspace Updates)。

これは実務上、意味の大きい変化です。これまでは「メールや書類の保管場所は指定できても、AIの処理がどこで行われるかは別問題」という状態でした。それが、GeminiにドキュメントやメールをまとめさせるといったAI処理まで、保管場所と同じ地域のポリシーに乗せられるようになった。生成AIを業務に入れた会社が、「入力はどこで処理されるのか」という問いに、管理設定という裏付けを持って答えられるようになったわけです。全社の設定を棚卸しする際は、Google Workspace のセキュリティチェックリスト の一項目として組み込むと漏れにくくなります。

エディションで「できること」が変わる

注意したいのは、データリージョンの機能はエディションによって差がある点です。ざっくり整理すると次のようになります。

区分できることの目安
基本のデータリージョン全ユーザーに一つの地域ポリシーを適用
上位(Enterprise系)地理的に分散した組織向けの柔軟な指定
Assured Controls(アドオン)保管・処理の状況を詳細レポートで可視化・証明

保管場所を「指定する」だけでなく、それを監査や取引先に対して証明するところまで求めるなら、上位エディションや Assured Controls といったアドオンが関わってきます(Google Workspace の各エディションのデータリージョン機能Assured Controls とデータリージョンの拡大)。自社の契約エディションで何ができるのかを先に確認しておかないと、「設定しようとしたら、そもそも自社のプランでは使えなかった」という順番のつまずきが起きます。

中小企業がまず確認・設定すること

いきなり全機能を使いこなす必要はありません。順番はこうです。まず 自社の契約エディションでデータリージョンがどこまで使えるか を確認する。次に 業務データの保管・処理を米国か欧州のどちらにそろえるか を、取引先要件や社内ポリシーに照らして決める。そのうえで Gemini の処理を含めて、部門ごとにどの地域ポリシーを当てるか管理コンソール で設定する。この三段でおおむね形になります。

大切なのは、これを「情報システム担当の趣味」ではなく、取引と監査に答えるための備え として位置づけることです。「どこで保管・処理しているか」を書面で示せる会社と、感覚でしか答えられない会社とでは、取引先からの信頼も、監査の通りやすさも変わってきます。

まず着手すべきこと

最初の一手は、設定をいじることではなく、「自社のエディションでデータリージョンが何をどこまでできるか」を確認することです。そこがわかれば、保管・処理・AIの地域をどうそろえるかは、取引先要件から逆算して決められます。

自社のプランで何が制御でき、Gemini の処理を含めてどう設定すべきか。取引先のセキュリティ要件に答えられる状態に整えたい場合は、IT・Google Workspace の無料相談 からご相談ください。契約エディションの確認から設定の設計まで、実務に落ちる形でご提案します。

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記事を書いた人

鈴木 翔

鈴木 翔

技術の可能性に魅了され、学生時代からプログラミングとデジタルアートの分野に深い関心を持つ

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