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カレンダーに勝手に入る予定を止める設定 — 締めると商談の招待も消える

目次 · 6項目

月曜の朝、カレンダーを開くと知らない予定が入っている。招待メールを開いた覚えはないし、承諾もしていない。それでも予定として並んでいて、スマホには開始10分前の通知まで出る。

これは不具合ではありません。Googleカレンダーの既定では、招待が届いた時点で、本人が何もしなくても予定が入ります。

厄介なのは、この挙動がそのままフィッシングの配送経路になることです。メールのフィッシングは受信者が本文を開く必要がありますが、カレンダー招待は開かなくても予定に入り、開始前に通知が鳴ります。予定の説明欄に置かれたURLは、自分のスケジュールに入っている予定として表示されるため、警戒の度合いがメールとは違います。

2026年8月14日から、この「招待をどう追加するか」を管理者が組織単位で決められる新しい設定の段階展開が始まりました。

ユーザー側にはもともと3つの選択肢がある

まず前提として、この設定はユーザー個人のカレンダー設定に以前から存在します。選べるのは3つです。

設定予定に自動で入る招待入らなくなるもの
全員から届いたものすべてなし(既定値)
既知の送信者のみ連絡先に登録済み・同じ組織・過去にやり取りがある相手からのもの初めて接触する相手からの招待
メールで返信した招待のみ本人が招待メールに返信したものだけ返信操作をしていないすべての招待

既定は「全員から」です。つまり、何も設定していない組織は全員が一番緩い状態で運用していることになります。

「既知の送信者のみ」の判定は、連絡先への登録、同一組織、過去のやり取りの有無で行われます。ここが後で効いてくるので覚えておいてください。

なお、すでにカレンダーに入ってしまった不審な予定は、この設定では消えません。予定をスパムとして報告すると、カレンダーから削除されます。設定変更は今後届く招待の扱いを変えるものであって、遡及はしません。

2026年8月、管理者が「選ばせる範囲」を決められるようになった

新しく入ったのは、管理者側の制御です。管理コンソールのカレンダー設定から、組織部門(OU)またはグループ単位で、既定値と、ユーザーが選べる選択肢の範囲そのものを指定できます。

重要なのは後者です。既定値を変えるだけなら以前から発想としてはありましたが、今回は「ユーザーに『全員から』を選ばせない」という制限がかけられます。たとえば「全員から」を選択肢から外したうえで、「既知の送信者のみ」と「返信した招待のみ」の2つの間でユーザーに選ばせる、という設計ができます。

管理者が既定を変えなければ、組織の値は「全員から」のままです。段階的な展開のため、管理コンソールに設定項目が見えるまでに最大15日程度かかります。

カレンダー招待の3つの設定と、それぞれで組織に届かなくなる招待の種類を対比した図

一番きつい設定にすると、初回商談の招待が消える

ここが実務の分かれ目です。セキュリティだけを見れば「既知の送信者のみ」に全社を寄せるのが正解に見えます。実際にやると、営業と採用が壊れます。

「既知」の定義に、初めて会う相手は入りません。連絡先に登録されておらず、同じ組織でもなく、過去のやり取りもない相手からの招待は、定義上すべて弾かれます。具体的には以下が該当します。

  • 初回商談の招待 — 相手企業の担当者が会議を設定して招待を送るケース。こちらの担当者のカレンダーには入りません
  • 採用面接の候補者側からの招待 — 応募者が日程調整ツールで枠を押さえた場合
  • 外部の日程調整ツール経由の招待 — 予約リンクから確定した会議は、ツールのアドレスから招待が飛ぶことがあります
  • セミナー・展示会の自動送信 — 登録完了時に届く招待

しかも失敗の仕方が最悪です。招待メール自体は受信トレイに届くため、送った側には「届いていない」と分かりません。受け取った側は予定が入っていないので、当日まで気づかない。両者とも異常に気づかないまま、当日に片方だけが会議室で待つことになります。

「返信した招待のみ」はさらに厳しく、ユーザーが招待メールを開いて返信する操作を習慣化していないと、社内の予定すら入らなくなります。

部署で分けるのが現実解

OUとグループの単位で指定できる、という仕様は、全社一律にするなという意味だと読むのが素直です。

外部との初回接触が業務の中心にある部署 — 営業、採用、広報、カスタマーサポート — は「全員から」を残すか、少なくともユーザーが選べる状態にしておく。外部からの招待をほとんど受けない部署 — 管理部門、製造、社内向けの開発 — は「既知の送信者のみ」を既定にする。この線引きなら、フィッシングの露出面は減らしつつ、商談を落とすリスクは避けられます。

グループ単位でも当てられるので、部署をまたぐ担当者や、外部プロジェクトの兼務者にも個別に適用できます。

締める側の部署には、あわせて案内をひとつ配ってください。招待メールは受信トレイには届いているという事実です。予定に入らないだけなので、メール側から手動で追加できます。この一文がないと、情シスに「予定が入らない」という問い合わせが集中します。

カレンダー周りは、この設定だけを触っても統制になりません。予定の内容が誰にどこまで見えるかは予定の公開設定と共有範囲の組み合わせ、予定のタイトルや説明欄に機密情報が入る問題はカレンダーのDLPで予定の中身を守るで扱っています。招待の入口を絞るのは、そのうちの一層です。

次にやること

管理コンソールにこの設定が出ているか確認したうえで、まず営業と採用の担当者に「初回商談の招待が自動で入らなくなってもいいか」を聞いてください。技術的にどう設定できるかより、この一問の答えが設計を決めます。

そのうえで、外部接点の多い部署とそうでない部署をOUかグループで切り分ける。全社一律にした瞬間、どちらかの部署が困ります。

組織部門の切り方や、カレンダー周りの設定をまとめて見直したい場合は、グリームハブのIT・Google Workspace 無料相談で承っています。業種と外部とのやり取りの多さによって適切な線引きが変わるため、個別にご相談ください。お問い合わせからどうぞ。

Sources

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鈴木 翔

技術の可能性に魅了され、学生時代からプログラミングとデジタルアートの分野に深い関心を持つ

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