
ファイルサーバーを共有ドライブへ移して3年。現場から「新しいファイルが保存できない」と連絡が来る。ストレージの購入状況を確認しても容量には余裕がある。足りていないのは GB ではなく、アイテムの数です。
1つの共有ドライブに入れられるのは 50万アイテムまでで、ここにはファイルだけでなくフォルダ・ショートカット・ゴミ箱の中身も含まれます。 容量の管理画面だけを見ていると、この数字は最後まで視界に入りません。そして上限に当たった時点で取れる手は、最初に設計しておけば数時間で済んだはずの作業より、はるかに重くなっています。
数えられているのは容量ではない
共有ドライブに効いている上限のうち、移行の設計に影響するのは次の3つです。
| 上限 | 値 |
|---|---|
| 1つの共有ドライブのアイテム数 | 50万(ファイル・フォルダ・ショートカット・ゴミ箱内を含む) |
| フォルダの階層 | 100 階層まで |
| 1ユーザーが1日にアップロードできる容量 | 750GB |
アイテム数と階層数は、以前の40万アイテム・20階層から引き上げられました。「上限が緩和されたから気にしなくてよい」と読むのは危険です。 引き上げられたのは天井であって、天井に向かう速度は変わっていません。ファイルサーバーから移した資産は、年度が増えるたびに単調に積み上がります。
残りが2割を切ると共有ドライブを開いたときに警告バナーが出ますが、これに気づけるのはそのドライブにアイテムを追加できる権限を持っている人だけです。閲覧者として使っている経営層や他部門には出ません。管理側で残量を追う仕組みを別途持っていないと、現場からの「保存できない」が第一報になります。
当たってから分ける作業が高くつく理由
上限に達したあとの選択肢は、実質的に「分割」しかありません。そして分割は、フォルダをドラッグして移すだけの作業ではないのです。

共有ドライブをまたいでファイルを移すと、次の3つが同時に動きます。
- 権限が移動先の共有ドライブのものに変わる。 共有ドライブのメンバー権限はドライブ単位で付いているため、移した瞬間にアクセスできる人の顔ぶれが変わります。移行のつもりが権限変更になっていることに、移した本人が気づきません。共有ドライブの役割設計は共有ドライブの権限ロールの決め方に整理しています。
- 共有リンクを貼った先が古い場所を指し続ける。 スプレッドシートの参照、社内ポータルのリンク、過去のメールに貼られたURLは、リンク自体は生きたまま権限で弾かれる状態になりがちです。「開けません」という問い合わせが数ヶ月にわたって散発します。
- 残骸のショートカットが上限を消費し続ける。 移動の代わりにショートカットを置く運用にすると、元のドライブのアイテム数は減りません。分割したつもりで、天井に触れたままになります。
つまり、上限に当たってからの分割は「置き場所の変更」ではなく「権限と参照の作り直し」です。年度の途中で全社のファイル参照を作り直す判断を迫られるのが、この問題のいちばん高い部分です。
分割の単位は、業務の終わりで決める
移行前に決めるべきなのは「どこで分けるか」の一点です。判断の軸は容量でも部署の人数でもなく、そのファイル群に終わりがあるかどうかにあります。
- 年度・案件で終わるもの(受注案件、プロジェクト、監査対応)は、終わりがあるので単位として優れています。案件が閉じたら共有ドライブごと閲覧のみに落とせば、以降アイテムは増えません。
- 終わらないもの(総務の規程類、営業の顧客資料、製品マニュアル)は、部門単位で分けても増え続けます。ここは分割の単位というより、保存期間を決める対象です。何年で捨てるかを決めない限り、どう分けても数年後に同じ相談が来ます。
- 人に紐づくものは共有ドライブに置かない、という線引きも必要です。個人の作業ファイルが共有ドライブに混ざると、アイテム数が業務量ではなく人数と作業回数に比例して伸びます。マイドライブとの使い分けはマイドライブから共有ドライブへの移行の判断にまとめました。
現実的な設計としては、「部門 × 年度」で切り、年度が閉じたドライブは新規追加を止める形が扱いやすいはずです。分けすぎを心配する声が出ますが、探すのは検索で行うので、ドライブが増えること自体は現場の負担になりません。 負担になるのはメンバー管理なので、そこはグループを当てて解決します。
移行そのものが止まる上限もある
もう1つ、移行作業の日程に直結するのが1ユーザーあたり1日750GB のアップロード上限です。数TB規模のファイルサーバーを1つの管理者アカウントで流し込むと、初日で止まって計画が崩れます。
回避のためにアカウントを増やすと、今度は各ファイルの作成者が移行用アカウントになり、監査ログやオーナー情報が実態とずれます。移行ツールを使う場合も、この上限は同じように効きます。移行期間の見積もりは、容量を750GBで割った日数を下限として組んでください。ストレージ全体の残量管理はストレージプールの容量管理を参照してください。
次にやること
まず、いちばん大きい共有ドライブのアイテム数を確認してください。 容量ではなくアイテム数です。ここが30万を超えているなら、上限は数年後ではなく来年の話になっている可能性があります。
そのうえで、増え続けているのはどのフォルダかを特定してください。 たいていは特定の1業務が全体の増加を作っています。分割の単位を決める議論は、その1業務の保存期間を決めることとほぼ同義です。
ファイルサーバーからの移行設計、共有ドライブの分割と権限の再設計、Google Workspace の運用ルール整備については、グリームハブの IT・Google Workspace 無料相談で承っています。現在のデータ量と業務の分かれ方によって進め方が変わるため、個別にご相談ください。お問い合わせからどうぞ。




