外出先から戻った社員が、スマートフォンで録った打ち合わせの音声をその場でノートに入れ、要点を聞き出している。本人にとっては議事録を書く手間が消えただけです。管理する側から見ると、会議アプリの統制が届かない場所に、顧客との会話の録音が増え始めたことになります。
Gemini Notebookのモバイルアプリに、録音機能とリアルタイムの音声対話が順次追加されています。Googleの案内では、Android版・iOS版で2026年9月15日から段階的な展開が始まり、機能が表示されるまで15日以上かかる場合があります。対象はGoogle Workspaceのすべての顧客と、個人のGoogleアカウントです。まだ届いていない組織でも、設定を触る前に社内で決めておくことがあります。
増えるのは「議事録」ではなく、AIが引用する材料
新しく入るのは主に2つです。ひとつはノートに登録した資料をもとに音声で対話する機能で、18歳以上の利用者が100近い言語で使え、説明の途中で割り込んで質問できます。もうひとつが録音機能で、その場で録った内容がノートの中にソースと並んで残り、あとからチャットで引用できます。
区別しておきたいのは、これがGoogle Meetの録画や自動の議事録とは別の入口だということです。Meet側は会議の中で起きることなので、管理コンソールの設定と会議の記録が対応しています。今回の録音は、会議室の外、たとえば客先の応接室や移動中の車内でも、個人の端末だけで完結します。会議の記録に関する社内ルールを作っていても、その文面が「Meetの録画」だけを指していれば、今回の経路は素通りします。
先に決める3点
機能が届いてから考えると、すでにノートに音声が溜まっている状態からの整理になります。順番としては、次の3点を先に埋めておくほうが早いです。
| 決めること | 具体的に確認するところ |
|---|---|
| 録ってよい場面 | 顧客との商談、採用面接、評価面談を含めるか。相手への断り方を誰が決めるか |
| 録音の置き場所 | 録音が入ったノートの共有範囲。社外と共有できる状態のままになっていないか |
| 後から見える記録 | 管理コンソールの監査ログで、どの操作が確認できるか |
とくに1点目は、管理の設定ではなく業務の決め事です。録音そのものは以前から各自の端末でできたはずですが、録った音声がAIに要約され、検索され、引用される前提になると、相手方の受け取り方が変わります。断りを入れる一言を営業部門で統一しておくだけでも、後から揉める場面は減ります。
共有範囲については、Gemini Notebookの外部共有が4段階の細かい制御に分かれ、ドメイン・組織部門・グループの単位で設定できるようになっています。既定は外部共有オフですが、部門やグループ単位で開けている場合は、録音が入る前に外部共有の4段階で範囲を見直しておきます。記録の確認はGemini Notebookの監査ログで扱っています。
止める設定を探す前に、範囲を決める
「録音だけを禁止したい」という要望も出てくるはずです。ただ、今回のGoogleの告知が示している管理側の制御は、Gemini Notebookをオンにしたグループ・組織部門の利用者がこれらの機能を使える、という点だけです。録音機能だけを止める設定には触れておらず、利用者側の設定もないとされています。個別の設定があることを前提に運用を組むと、想定と違ったときに何も決まっていない状態に戻ります。
現実的なのは、Gemini Notebookを使える範囲そのものを組織部門やグループで区切り、扱う情報の機密度が低い部署から順に広げる進め方です。音声で業務アプリを操作する範囲を整理する場合は、音声で使うGeminiで管理者が先に決めることも合わせて確認できます。
試すのは、機密度の低い部署から
最初に広げる先は、社内向けの勉強会やマニュアル整備を担当している部署が向いています。録音の対象が社内の説明であれば同意の問題が軽く、要約の精度や使い勝手だけを評価できます。
社内の説明を録るところから始めると、要約が実際に使える精度かどうかも、同じ期間で分かります。精度が足りないなら、同意の議論に進む前に見送る判断ができます。
そのうえで、2週間ほど使って「どのノートに音声が入ったか」「そのノートが誰と共有されているか」を一覧にします。ここで想定外の共有が見つかるなら、営業や人事へ広げる前に共有設定の見直しが先だと判断できます。
2026年9月24日に、Googleの公式告知(Google Workspace Updates、Google公式ブログ)の内容をWeb検索で再確認しました。管理コンソールの設定画面、録音機能だけを制御する設定の有無、監査ログに録音関連の操作がどう記録されるかは実機で確認していません。本記事は、機能が行き渡る前に社内で決めておく項目の整理です。
Google Workspaceの管理設定や、生成AIの利用範囲の相談は、グリームハブへご相談ください。









