退職者アカウントを「消せない・払い続けたくない」ときの選択肢 | GH Media
URLがコピーされました

退職者アカウントを「消せない・払い続けたくない」ときの選択肢

URLがコピーされました
退職者アカウントを「消せない・払い続けたくない」ときの選択肢

「先月の請求、人数が合わないんですが」と経理から連絡が来て調べると、2年前に辞めた社員のアカウントが停止状態のまま残っていた。これは中小企業の情シスでかなりの頻度で起きます。

停止したまま放置される理由ははっきりしています。削除するとメールも Google ドライブのファイルも消えるから、誰も削除ボタンを押したがらないのです。「後で必要になるかもしれない」と言われると反論できず、しかし停止中のアカウントも通常ライセンスとして課金され続ける。この膠着を解くための選択肢が、意外と知られていません。

退職後の状態は4つある

Google Workspace で退職者アカウントを扱うとき、実際に選べる状態は次の4つです。停止と削除の2択だと思っている組織が多いのですが、その間があります。

状態データライセンス主な用途
停止(一時停止)すべて保持通常ライセンスを消費休職・調査中など復帰の可能性がある期間
アーカイブ ユーザーGmail・ドライブ等を保持し検索可通常より低額のアーカイブ ユーザー ライセンス退職後の保存義務・訴訟対応
引き継ぎ後に削除必要分を他ユーザーへ移管消費しない通常の退職
即削除一定期間後に復元不可消費しない保持する必要がないと確定した場合

多くの組織が「停止」で止まってしまうのは、この表の2行目と3行目を知らないためです。とくにアーカイブ ユーザーは「消さずに、通常より安く保持する」ためだけに用意された状態で、まさにこの膠着のための仕組みです。

停止・アーカイブ・引き継ぎ後削除・即削除の4状態を、データ保持とライセンス消費の2軸で比較した図

アーカイブ ユーザーで何ができて、何ができないか

アーカイブ ユーザーに切り替えると、そのアカウントは「凍結された記録」になります。

できるのは保持と調査です。Gmail、Google ドライブ、チャットなどのデータはそのまま残り、Google Vault からの検索・保持・書き出しの対象になります。監査や法的対応で「あの時期のやり取りを出してほしい」と言われたときに応じられる状態、と考えると分かりやすいでしょう。

できないのは日常利用のすべてです。ログインもメールの送受信もファイルの編集もできません。したがって「退職者宛のメールを受け続けたい」「共有ファイルの編集権限を残したい」という要求には応えられません。ここを混同していると、切り替えた後で「メールが届かなくなった」という問い合わせになります。

料金は通常ライセンスより低く設定されていますが、金額は契約プランや販売パートナーによって変わります。国内代理店の解説では月額400円台という水準が示されていますが(Ardent)、自社の契約でいくらになるかは請求書か販売元に確認するのが確実です。

「停止のまま」がいちばん高くつく

停止状態を選び続けることの問題は、料金だけではありません。

課金は止まりません。 停止中でもライセンスは割り当てられたままなので、通常ユーザーと同じ単価が乗り続けます。10人の会社で3人分が停止のまま2年放置されていれば、それは3人分の年額をそのまま捨てていることになります。ライセンス全体の見直しはGoogle Workspace のライセンス費用を見直すにまとめています。

ストレージも消費し続けます。 停止アカウントのドライブ容量は組織のプール容量からそのまま引かれます。容量が逼迫して増設を検討している組織で、原因が退職者アカウントだったというのは珍しくありません(ストレージプールの逼迫をどう見るか)。

判断の先送りが積み上がります。 停止は「後で決める」という状態なので、決める人がいなくなると永久に残ります。アーカイブに移すという行為には「保持すると決めた」という意思が含まれるため、少なくとも判断が一度は行われます。

決める順番は「誰の・何年・なぜ」

退職者データの扱いを個別案件ごとに判断していると必ず溜まるので、先に方針を決めます。順番はこうです。

  1. なぜ残すのかを言葉にする。 「念のため」は理由になりません。取引先とのやり取りの証跡、経理関連の保存義務、係争リスクのどれなのかで、残すべきデータの種類も期間も変わります
  2. 誰のアカウントが対象かを絞る。 全退職者を一律にアーカイブすると費用が積み上がります。外部との取引に関与していた職種だけを対象にする、といった線引きが現実的です
  3. 何年残すかを決める。 決めない限り消せません。期間を決めておけば、棚卸しの作業は「期限が来たものを消す」だけの単純作業になります
  4. 引き継ぎで済むものを先に抜く。 業務で今も参照するファイルはアーカイブではなく、後任へオーナー権限を移管します。アーカイブしたデータは日常的に取り出せないので、ここを間違えると業務が回らなくなります

退職処理の全体像はGoogle Workspace の退職者アカウント処理で扱っています。本記事はその中の「保持するデータをどのライセンス状態で持つか」に絞った話です。

契約プランで手順が変わる点

ここは実務でつまずきやすいところです。

フレキシブルプランでは、ユーザーをアーカイブすると、アーカイブ ユーザー ライセンスが自動的に割り当てられます。事前に追加購入する操作は要りません。

年間プラン・固定プランでは、アーカイブ ユーザー ライセンスをあらかじめ確保しておく必要があります。「アーカイブしようとしたらライセンスが無くて進めない」という詰まり方をするのは、たいていこちらです。退職が確定した時点で、切り替え先のライセンスがあるかを先に見ておきます。

代理店経由で契約している場合は、注文やキャンセルの窓口が代理店側になることもあります。自社の管理コンソールだけで完結する前提で段取りを組むと、月末に間に合わなくなります。管理コンソールのどこに何があるかはGoogle Workspace 管理コンソール入門にまとめています。

もうひとつ見落とされやすいのが、アーカイブを解除して通常ユーザーに戻す場合の手順です。再入社や、係争対応で一時的にデータへアクセスする必要が出たときに発生します。戻す先の通常ライセンスに空きがなければ、その場では戻せません。年間プランで席数を絞り込んでいる組織ほど、この詰まり方をします。

次にやること

管理コンソールのユーザー一覧を停止状態で絞り込み、それぞれが何ヶ月前から停止しているかを出してください。 3ヶ月以内なら判断待ちとして正常ですが、1年を超えているものは判断が放棄されている状態です。

そのうえで、その中に「今も業務で参照されるファイルを持っている人」がいないかを確認します。いれば引き継ぎが先、いなければアーカイブか削除かの二択に落ちます。ここまで来れば、削除ボタンを押せない理由はほぼ無くなります。

退職者データの保持方針や、プラン変更を含めたライセンス構成の見直しを相談したい場合は、グリームハブのIT・Google Workspace 無料相談で承っています。契約形態や業種によって適切な保持期間は変わるため、個別にご相談ください。お問い合わせからどうぞ。

Sources

URLがコピーされました

グリームハブ株式会社は、変化の激しい時代において、アイデアを形にし、人がもっと自由に、もっと創造的に生きられる世界を目指しています。

記事を書いた人

鈴木 翔

鈴木 翔

技術の可能性に魅了され、学生時代からプログラミングとデジタルアートの分野に深い関心を持つ

関連記事

「Google Workspace」の記事一覧を見る