
新人が入るたびに、業務マニュアルのスライドを共有して「読んでおいてください」と伝える。最後に確認用のフォームを置いて、「読みました」にチェックを入れてもらう。
このチェックが押されていても、読んだかどうかは分かりません。 分かるのは「押した」ということだけです。それでも運用が変わらないのは、理解度を測る設問を作るのが面倒だからです。30ページの資料から10問作るのに1時間かかるなら、次の資料でも同じ作業が発生します。作られないまま「読みました」チェックが残り続けます。
2026年8月、Google フォームの作成支援機能がクイズの自動生成に対応しました。参照する資料を指定すると、設問と正解まで含めて生成されます。
資料を指定して、設問を作らせる
やることは2つです。
- どんなクイズを作りたいかをプロンプトで指定する
- 参照元としてドライブ上のファイルを指定する(ドキュメント、スライド、PDF など)
これで、Gemini が設問と選択肢、そして正解の設定まで含んだ状態のクイズを生成します。フォームのクイズ機能は元々、正解を登録しておけば自動採点できる仕組みなので、生成された時点で採点まで動く状態になります。
これまでも設問の候補を提案してもらうことはできましたが、質問候補の提案はアンケート設計の支援であって、正解を持つクイズとは別物でした。「正解が付いている」ことが、今回の実務上の差です。採点まで自動になるので、確認する側の作業がなくなります。
「作れる」ようになると、運用のほうが変わる
機能そのものより、これで何が変えられるかのほうが重要です。理解度確認が10分で作れるようになると、次のような運用が現実的になります。
マニュアル更新のたびに、確認テストを作り直す。 これまでは初版のときだけ作って、更新後は放置されていたはずです。更新した資料を参照元に指定し直せば、新しい内容に対応した設問が出てきます。
部署ごとに違う設問を用意する。 同じ就業規則の資料でも、現場と管理部門では押さえるべき点が違います。プロンプトで観点を指定すれば、それぞれ別のクイズが作れます。
外部委託先やアルバイトの受け入れに使う。 業務委託のメンバーに情報の取り扱いルールを説明したあと、理解度を確認する。説明したという記録ではなく、理解を確認した記録が残ります。 ここは実務上の意味が大きい部分です。
3つ目は、ナレッジの配り方と権限設計を整理する場面でも効いてきます。誰にどこまで説明したかが記録で残ると、権限を渡す判断がしやすくなります。

生成されたものを、そのまま配らない
自動生成の常として、そのまま使えるかどうかは中身次第です。配る前に見るべき点が3つあります。
1つ目は、資料に書いていないことを聞いていないか。 参照元を指定していても、一般知識から設問が作られることがあります。資料を読んだだけでは答えられない設問が混ざると、受け手は「引っかけ問題だ」と受け取ります。
2つ目は、覚えてほしいことを聞いているか。 生成される設問は、資料の中で目立つ記述から作られがちです。本当に守ってほしいルールが、目立たない場所に1行だけ書かれているというのはよくあります。その場合、その部分の設問は自分で足すことになります。
3つ目は、正解が本当に正解か。 社内独自の運用が絡む設問では、一般的には正しくても自社では違う、ということが起きます。採点が自動なので、正解の誤りは全員の点数に効きます。
3点とも、確認には数分しかかかりません。生成に1時間かかっていた作業が10分になり、確認に5分足す、という配分です。
対象エディションを先に確認する
Gemini の機能なので、契約しているエディションによって使えるかどうかが変わります。 社内に案内する前に、管理コンソールで自社の対象範囲を確認してください。
あわせて確認したいのが、参照元に指定するファイルへのアクセス権です。クイズを作る人がその資料を開ける必要があります。人事系の資料のように、閲覧できる人が限られているファイルを参照元にする場合、作成担当者に権限があるかを先に見ておきます。
段階的に展開される機能では、管理コンソールの設定より前に「まだ来ていない」だけ、ということもあります。リリース設定をどのトラックにしているかによって、到着時期が1〜2週間ずれます。使えないときは、設定を疑う前にここを確認するほうが早いです。
続けるには、確認の場所を決める
作るのが楽になっても、結果を誰も見ないなら意味がありません。 ここで止まる会社が多いので、先に決めておきます。
決めるのは2点だけです。回答結果を誰が見るかと、何点未満なら再説明するか。
後者は数字である必要があります。「理解が不十分なら再説明」では運用されません。「7割未満なら口頭でフォロー」と決めておけば、見る側の判断が不要になります。フォームのクイズは点数が自動集計されるので、閾値さえ決まっていれば作業は数分で終わります。
次にやること
まず、直近1年で更新したのに確認テストを作り直していない資料を1つ挙げてください。 たいてい心当たりがあるはずです。それが最初の対象になります。
そのうえで、その資料を参照元にクイズを1本作ってみてください。 実際に生成させてみると、自社の資料で使えるレベルかどうかがすぐ分かります。使えないなら、それは資料の側が曖昧である可能性が高く、そちらのほうが先に直すべき問題です。
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